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—— 君の初めては全部……(3)
唇が肌を掠めただけでも、未だに余韻の残る身体がビクンとシーツの上で跳ねた。
透さんは腹から胸へと舌を這わせて、肌に散った白濁を舐め取っていく。
時々、上目遣いで俺を見上げてくるんだけど、その顔がなんだか妖艶で壮絶に色っぽくって、目が合っただけで下腹部が熱くなる。
「…… あぁ…… んっ、…… っ」
堪らずに出した声がまるっきり女の子みたいで……。 恥ずかしくて自分で口を塞げば、透さんが咎めるように俺の手を払い退ける。
「もっと可愛い声、聞かせて」
言いながら、乳首の周りを円を描くように舌を這わせた。
「…… っ、とおるさ、ん」
硬く立ち上がり主張している中心をわざと外すように舐められて、堪らずに背中を反らせば、自然に突き出す形になった胸の尖りに、透さんが息を吹きかけて、クスッと笑う。
「直くんの身体って、エロいよね」
「—— っ…… んっ」
恥ずかしいこと言われてるのに、触ってもらえないそこに意識が集中して、むず痒くてジンジンと疼いてて……。 だけど透さんは胸から離れて、今度は顔に飛んだ白濁を舐め取っていく。
—— って! もしかしてこれ、乳首放置プレイか何か?!
「さっき、俺が1回イく間に、何回イった? 直くん」
「…… え? えぇ〜っと…… 俺も1回……?」
俺がイったのは、たった今、透さんに手でイかされて……。
だけど……、俺…… それだけじゃなくて……。
「違うよね? 分かってるくせに……」
今度は耳元に囁くいつもの甘い声に、なんだか艶っぽさが加算されてて……、それだけで背中がゾクゾクして感じてしまう。
「いつ覚えたの?」
「…… え?」
いつ? って。 なんの事を言ってるのか、最初は分からなかったけど……。
「ドライでイけるようになったのは、いつから?」
「…… 」
その時、俺の脳裏に浮かんだのは、新年会のあの濃い夜の出来事だった。
——『なーお、こっちだけでイケたね』
『ドライオーガズム。 後だけで感じちゃったんだよ』
『直は素質があるって事かな。 ある程度は、透さんとやらに開発してもらってたからかもね』
あの夜、みっきーに言われた言葉が次々と蘇ってきて……。
「俺が……、直くんと再会したあの誕生日の夜が初めてじゃないよね?」
——『ほら、いつもより敏感になってない?』
…… 透さんと再会してからも、何度もその感覚を感じたけど……。
「光樹先輩に教えてもらった?」
そう聞かれて、言葉に詰まってしまう。 正直に言ったら透さんはどう思うだろう…… って、やっぱり考えてしまうから。
「…… そっか……。 それはちょっと…… 悔しいな」
「あ……、あのっ、俺! 」
苦笑いしながら体を離してしまった透さんの背中に、何か言わなくちゃって、慌てて声をかけたけど、言葉が続かない。
ベッドからも降りてしまってハラハラしたけど、床に落ちていた何かを拾い上げると、透さんはまたすぐに傍に戻ってきてくれて、俺はホッと胸を撫で下ろした…… んだけど……。
「ちょっとだけ、暗くしてみようか」
「…… え? え?」
暗くって何を? って、声に出す間もなく、透さんの手にあった何かで、突然目を覆われて、視界が真っ暗になった。
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