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 —— 君の初めては全部……(8)

 カクッと力が抜けて、後ろ手に拘束されたままで、自由の効かない体がグラリと揺れてしまう。   透さんの太腿に跨った状態で、ベッドに膝を突き、バランスをとる為に僅かに浮かした腰を、透さんの手に掴まれて下から激しく突き上げてくる。 「あっ、ああっ、んっ、ああっ」  前立腺を擦りながら、時々痛いくらいに勃っている胸の尖りを嬲られて、襲ってくる絶頂感に高い嬌声を我慢できなくて、喘ぎっぱなしの口端から溢れた唾液が顎を伝っていく。  目隠しされていると、確かにいつもより肌が敏感で、少し触れられただけでもゾクゾクする。  手を縛られている状況も刺激的で興奮する。    —— だけど……。  下から突き上げてくるスピードが速くなって、透さんの息が乱れていくにつれて —— 透さんにしがみつきたくて、堪らなくなっていく。  もっと肌をピッタリと合わせて、抱き合って、キスをして、汗ばんだ背中を手のひらに感じたいって思う。  でも……、こうやって目隠しされて、手を拘束された原因は……、多分、俺が初めてドライでイった時の相手が、みっきーだったから……。  だから、俺から『外してほしい』なんて言えなくて。 これは透さんのちょっとしたお仕置きなんだから……。  —— お仕置き……?  俺、透さんになら、何されても構わないし、それって俺にとっちゃ、結構ご褒美だったりする気もするけど!  —— でも……、でも! でもでも!!!  荒い息を吐きながら、開きっ放しの俺の唇全体を包み込むようにキスされて、透さんの熱い吐息に混じって……、余裕のなくなってきた声が聞こえてくる。 「…… っ、直……」  いつもは『直くん』と呼ぶのに、エッチの時だけ無意識にそうやって呼び捨てにする。  切なそうに黒い瞳を細めて、熱のこもった眼差しが壮絶に色っぽくて……。  —— 透さんは、今、どんな表情をしているんだろう……。 「…… っや…… っ、透さ…… あっ、駄目っ」  —— 駄目だっ、ダメダメダメっ! このままじゃ、俺の大好きな透さんのイキ顔が見れないじゃんっ! 「…… 何……が、ダメ?」  透さんの動きが止まって、俺の耳元で呼吸を乱しながら、掠れた声が途切れ途切れに囁いた。 「…… っ、だっ……て……」  透さんの顔が見れないなんて、俺にとっては大問題……。 俺の元気の源、俺の大好きな……、俺の……。  熱い涙がじわりと滲んで、真っ暗な視界が濡れた。 「…… どうしたの?」  目を覆っていたネクタイが取り払われて、滲んだ視界に透さんの心配そうな顔が見えた。 「ごめんね……。 ちょっと意地悪し過ぎたかな」  そう言って、手首を縛っていたネクタイも解いてくれて、俺は自由になった腕で、透さんの首に抱きついた。  謝らないといけないのは俺の方。

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