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―― Moonlight scandal (2)
逢うたびに、もっと好きになってしまう。 俺は透さんに、すっかり嵌まってしまっている。
「透さん、キスしたい」
ソファーに座る透さんの膝の上に跨ってキスを強請る。 膝に座った所為で、俺の方が目線が少し上になった。
透さんの漆黒の瞳を見下ろして、額にキスをすると、「眠そうなのに……、悪い子だね」と言いながら、透さんは俺の後頭部に手を回し、そっと引き寄せる。
唇を舐めて、リップ音を立てながら何度か啄ばんで、唇が触れるか触れないかの位置で、熱の籠った眼差しに見つめられた。
「寝室に行く?」と訊かれて頷けば、膝裏に腕を通して、楽々と抱え上げられてしまう。
「透さん、一人で歩けるって。 重いでしょ?」
「ん、まだ大丈夫。 直くんはまだ成長するだろうから、こうしてお姫様抱っこできるのも、今だけかもしれないしね」
そう言って微笑むと、寝室のドアを俺を抱えたまま、難なくすり抜ける。
俺の身長は、透さんと初めて逢ったあの日から比べると、少し伸びている。 それでも、まだまだ透さんの身長には追いつけないけど。
そっとベッドに下ろされて、背中にスプリングを感じながら、身を委ねる。
いくら俺の方が、身長が低くて華奢だと言っても、同じ男なんだ。 こうしてリビングから抱きかかえて、そっとベッドに下ろせるなんて、透さんの腕の力は最強だと思う。
俺を見下ろしながら、Tシャツを脱ぐ透さんの身体に、いつも目を奪われる。
服を着ている時は、殆ど分からないのに、程よく筋肉のついた、しなやかな身体。
Tシャツを脱ぐ動作に合わせて流れるように動く筋肉の美しさに、思わずごくりと喉を鳴らしてしまう。
「…… 何?」
俺があまりにも、じっと見ていたから、透さんは少し照れたように微笑んで、俺の瞳を覗きこむ。
「い、いや、透さんって、綺麗な身体してるなーって、思って……」
「直くんの方が綺麗だよ」
そう言いながら、俺のTシャツを脱がせていく。
―― いやいや、透さんのとは全然違うでしょ!
「俺、透さんみたいに、筋肉そんなについてないもん、痩せてるだけで」
「直くんは成長途中だから、まだまだこれからだよ」
露になった俺の肩に、口付けを落とされて、そのまま首筋に舌を這わされると、無意識に甘い声が漏れてしまう。
「…… ん……、」
「直くんの肌は、きめ細かくて、綺麗だよ」
そう言いながら、鎖骨を甘噛みして、なぞるように舐められて、全身に甘い痺れが走る。
思わず、透さんの背中に、腕をまわすと、掌に背筋や肩甲骨の動きが伝わって、それだけでゾクゾクって、感じる。
「……は、ぁ……、」
透さんの身体がセクシー過ぎて、溜め息が漏れてしまう。 なんでこんな綺麗で逞しい身体してるんだろう。
「ねえ、透さん……、」
「…… 何?」
透さんは俺と会話しながらも、耳朶を甘噛みして、舌で耳殻をなぞる。 それだけで腰の奥が熱く疼いた。
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