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—— Moonlight scandal (3)
「…… は、ぁ……、何か、スポーツして…… たの?…… 高校の、時…… とか、みっきが先輩って、部活同じだったとか?」
耳殻から中へと滑るように熱い舌が這い、反対側の耳も指先で優しくなぞられて、言葉に吐息が混じってしまう。 途切れ途切れにそう訊けば、透さんの動きが、ふっと止まった。
みっきーは透さんの高校の先輩って言うのは知ってるけど、学年は2年離れているのに、そういえば、どういう接点があって、知り合いだったんだろうと、今更ながら思い出して訊いてみたんだけど……。
「…… 透さん?」
こんな時に、みっきーの名前を出すのは、やっぱり駄目だったかなって、心配になって、透さんの表情を窺うようにそっと見上げた。
「…… 水泳部だったんだよ。 俺も、光樹先輩も」
そう言って、透さんは何でもなかったように、唇を軽く重ねた。
—— 水泳部かぁ~~~~。
………え?
…すいえいぶ?!
「と、とおるさんっ」
「…… 何?」
思わず上体を起こした俺を、透さんが不思議そうな顔で見詰めている。
—— だって、だって!
水泳部と訊いて、俺の頭に過ぎったのは……。
「…… 競泳用の水着とか着てたの?」
この、セクシーな身体を惜しげもなく、ギャラリーに見せていたと言うのか?
「…… うん。 そうだけど?直くん?」
—— ああっ…俺、もう鼻血出そう……。
「透さん、あのピッチピチの水着、着ていたの?」
「…… ん、まぁ……、そうだけど。」
—— やばい…… マジやばい。 何がって俺が!
俺の脳裏に浮かぶ競泳水着を着けた透さんの姿が…… あまりにエロくて!
「俺も…… 透さんと一緒に泳いでみたい……」
思わず言ってしまっていた。
決して透さんの水着姿が見たいとか、そんなんじゃなく、…… 多分、そんなんじゃなくて、いや、見たいけど……。
「やっぱり、どっかに旅行とか行けないかなぁ」
透さんの仕事が忙しくて、この夏は盆休みもお預けで……。 だから、旅行の計画とか全然なくて。
週末の休みでさえ、きっちり取れていない状態で、こんな事を言ったら、透さんを困らせるだけだって、分かっているつもりなのに。
つい……、言ってしまった。
「ごめんね、直くん」
ほら……、
透さんが、すごく申し訳なさそうな顔をしてるじゃん。
「…… 透さんが謝ることないよ! 俺こそ、分かってるのに、困らせてごめんなさい」
なんか、自分がとんでもなく子供じみた事を言ってしまった気がして。
恥ずかしさを隠すために、透さんに抱きついて、その肩に顔を埋めた。
「…… 直くん?」
宥めるように俺の肩を、ポンポンと軽く叩くと、
透さんの首に巻きついている俺の腕を、やんわりと解いて、顔を覗きこむ優しい瞳。
「泊まりで何処かに行くのは、難しいかもしれないけど、泳ぎに行くだけなら、今度フィットネスクラブにでも一緒に行く?」
「え?いいの?」
透さんが会員になっているフィットネスクラブは、結構高級そうな感じなんだけど。
「うん、申し込めば、体験利用とかで一日自由に使えるし、行ってみる?」
「わっ、まじ? 行く! 行く! 行ってみる!!」
すっごい嬉しくって、透さんに抱きついて、そのままベッドに押し倒して……、
「わっ、直くん?」
驚いている透さんの顔に、チュッチュッと音を立てながら、キスの雨を降らせまくっていた。
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