「ありがとう透さん」 　言いながらも、まだキスを止めない俺の頬を、透さんの両掌が優しく包み込む。 「直くんにとっては、１０代最後の夏だもんね。　本当は旅行とか行きたかったけど……、ごめんね」 「そんなの！気にしないで。　俺は透さんと一緒にいられるだけで幸せだし！」 　言った途端、顔を引き寄せられて、唇が重なった。 　後頭部を透さんの手で押さえられて、俺の方が上になっているのに、透さんに下から激しくキスを仕掛けられる。 「……　ん、……ッん、……」 　重なり合った唇の隙間から甘い吐息を漏らす頃には、身体の力が抜けていて、透さんに難なく反転させられて組み敷かれてしまう。 「直くん、好きだよ」 　キスの合間に囁く甘い言葉。 「俺も……　好き、透さんが好き」 　透さんが俺を想うよりも、絶対俺の方が透さんの事をいっぱい好き。 　——　好き過ぎて、おかしくなりそう……。 　その言葉を紡ぐことはできずに、快楽の海に飲み込まれて、嬌声をあげる。 　唇で、舌で、指で、透さんに触れられる肌は、どこも敏感になってしまって、与えられる快楽をただ素直に受け止めて、感じるままに身体を震わせた。 　透さんは、腹に付く程反り返っている俺の半身に唇を寄せて、チュッとキスをくれてから、咥内へ呑み込んでいく。 　熱い粘膜に覆われて、ゆっくりと舌を使いながら上下に動かされると、気持ち良すぎて、すぐにでも達してしまいそうになる。 「ん、……　ァ……　とぉるさ……、」 　閉じていた瞼を開き、透さんの頭に手を伸ばせば、しっとりとした前髪の隙間から、漆黒の瞳と目が合った。 　透さんは、俺を見詰め返しながら口角を上げると、更に激しく俺のを口で愛撫しながら、手は薄いフィルムを開けようとしていた。 「……　とおるさん、それ、着けなくていいよ……」 　透さんを直接、感じたいから……。 　そう思うのに、透さんは、微笑みながら首を横に振る。 「——　じゃ、俺が着けてあげる」 　透さんの手からフィルムを奪って、取り出したゴムを被せながら、そのまま口に含んでいく。 　喉の奥に当たるくらいまで呑み込んで、舌を絡ませながら顔を上下させた。 「——　なお……　っ」 　透さんの甘い吐息が、俺の髪の毛にかかって、感じてくれているのが分かると嬉しくなる。 　去年までは、俺が女の子にさせていたこの行為。 　透さんに出逢うまでは、こんな事を自分が男相手にやるなんて、思ってもいなかった。 　夢中で透さんのを愛撫していると、不意に頭を掴まれて、後ろへ引き離される。 「……　っは」 　ずるっと咥内から引き抜かれて吐息を漏らした唇に、熱く濡れた切っ先が触れている。 　そのまま見上げれば少し余裕のなくなってきた表情の透さんと視線が絡んだ。 「……　とおるさ……　ん……、」