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―― Moonlight scandal(17)
コンビニに寄って、今夜食べ損なった 夕飯の代わりに、弁当を買って帰った。
自分の部屋のドアを開けると、今日 一日閉めきっていたせいで、蒸し暑い空気が出迎えて、思わず、「あっつぅ……」と、声が出てしまう。
取り敢えず窓を開けると、少しだけ涼しい夜風が入ってきてカーテンを微かに揺らした。
「今夜は結構涼しいな」
独り言を呟きながら、小さなローテーブルを窓辺に移動させて、コンビニの袋から、弁当とビールを取り出して座る。
缶ビールのプルタブを上げ、プシュッと音を立てて溢れる泡を掬うように口をつけてから、冷たいビールを喉へコクコクと流し込む。
「ぷはーーっ! うめー!」
…… って、俺はおっさんかよ!
—— でも、気持ちいい。
なんて思いながら、弁当の蓋を開けて、唐揚げをつまむ。
「…… 今頃、透さんは何食ってんだろ……」
お母さんと、美絵さんて人と3人で、どっかホテルでコースとか食べて んのかなぁ。
そんな光景を思い浮かべると、なんか胸がモヤモヤしてくる。
「あ…… 、そう言えば……」
週末に、提携記念パーティーが、どうのこうのって言ってたっけ。
「週末って…… プールの約束、大丈夫かなぁ」
透さんとプールに行く日は今度の土曜日の予定なんだけど。 そのパーティーってのが、約束の日に被ってないかが心配なんだけど……。
でも、透さんは、後で連絡するから、週末のこと決めようって、言ってくれたし。
「うん、きっと大丈夫」
嫌な予感を振り払おうとするけど、気になり出すと、悪い方にばかり考えちまって、婚約者って人の顔も、また浮かんできたりして、モヤモヤが止まらなくなる。
「やっぱ、暑いな」
さっきまで気持ちいいと思った、外から入ってくる空気が、やけに暑く感じて、立ち上がって窓を閉めて、エアコンの電源を入れる。
残りの弁当を、さっさと腹に詰め込んで、空になった弁当の箱とビールの空き缶を片付けて浴室へ向かう。
手早く髪と体を洗って、濡れた髪は簡単にバスタオルでゴシゴシ拭いただけで半乾きなまま、ドサッとベッドに寝転がった。
時刻は、10時を回ったところ。
携帯を確認しても、透さんからの連絡はまだ着ていない。
—— 早く…… 連絡こないかな。
そう願いながら、携帯を握ったまま胸の上に置く。
きっと0時までには、電話かメールをくれるはず。 だから、起きて待ってなきゃ。
そう思っていたのに、疲れているのか、どうしようもなく瞼が重くて。
俺は、携帯を握り締めたまま、いつの間にか眠ってしまっていた。
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