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 ―― Moonlight scandal(18)

 ****  —— まぶし……。  朝の眩しい光が、カーテンを閉め忘れた窓から、容赦無く寝ている顔を照りつけられて、否応無く夢から起こされる。  昨夜は、エアコンもタイマーを設定し忘れて、朝までつけっ放しだったせいか、なんだか身体が怠い。  時計を見ると、まだ6時。 「あれ? 携帯……」  足元でくしゃくしゃになって、全然役に立ってないタオルケットのかたまりの中を探ってみると、中から昨夜、手に握ったままだったはずの携帯が出てきた。  寝てしまって気付かなかったかもしれない、透さんの着信を確認する。 が、電話も メールも来ていなかった。 「どうしたんだろう……」  昨夜、メールも出来ないくらい遅くなったんだろうか……。  そう考えると、途端に不安が押し寄せる。  早く透さんの声を聞きたいけど、こんな朝早くに電話するわけにもいかないし。  透さんは、今日も仕事のはずだから……。 「7時になったら電話してみようかな」  それまで、もう一眠りしようかと思ったけど、寝ちゃったら絶対7時に起きる自信がなくて、仕方なくのっそりとベッドから立ち上がって、冷蔵庫を開ける。  エアコンを付けっ放しだったせいか、喉がカラカラだった。 取り敢えず牛乳をグラスに注いで、一気に飲みほす。  本当なら昨夜は透さんちに泊まるつもりだったし、今日のバイトは昼からだから、午前中丸々予定がない。  しかも、俺にしては珍しく早起きしちゃって、やることがない……。  でも、何もしないで起きてると、透さんのことが気になって仕方がない。  —— まさか、あの婚約者の人と……。 「…… ないないない! そんな事、絶対ないっ」  自分で勝手に悪い方に考えてどうするんだ!  頭を思い切り、何度も横に振って、馬鹿な考えを振り払う。  —— でも……、連絡するって言ったのに………。  清楚で可愛らしくて、いかにもお嬢様な感じの美絵さんの姿が頭を過る。  あんな可愛い女の人に、言い寄られたら、男だったら…… いくら透さんでも……。 「あぁあああ! もう!!!」  透さんに限って、そんなことある訳ないじゃん! 俺じゃないんだから……… 「あはははは……」  ダメだ、何もしないでいると、余計な事考え過ぎる。  そうだ、部屋を掃除しよう!あと洗濯も、だな。  洗濯機を回しながら、窓を全開にして、あちこち散らばった雑誌やら脱ぎ散らかした服やら片付けて、掃除機をかける。  余計なことは考えずに、ただひたすら掃除して、洗い上がった洗濯物を小さなバルコニーに干していると、ローテーブルの上に置いてあった携帯が鳴った。  ーー 透さんだ!  時計を見ると、もう7時を少し回ったところだった。

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