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 —— Moonlight scandal(51)

「…… 直」  俺の名を囁く透さんの声は掠れていて、目の前の鏡の中から、艶っぽい漆黒の瞳に見詰め返される。  いつも『直くん』と、呼ぶ透さんが、エッチの最中に呼び捨てにする時は、余裕がなくなってきている証拠。  俺は肩越しに振り返って、直接透さんの瞳に視線を合わせる。 キスをして欲しくて。  言葉にしなくても、自然とお互いの唇が触れ合う。  二度三度と、啄ばむようにリップ音を響かせて、四度目に目を閉じて、キスが深くなっていく。  舌を絡めて、唾液を混じらせて、お互いの咥内を味わいつくすと、愛おしさが込み上げてくる。 「透さん……、大好き」 「 俺も……、大好きだよ」  キスの合間に言葉を交わして、またキスが深くなって、唇から漏れる吐息が熱くなる。  唇を合わせたまま、透さんはゆっくりと律動を始める。 「 …… ッ  ん……、っん、」  重なった唇の隙間から熱い吐息と共に、透さんの律動のリズムに合わせるように、俺は喘ぎ声を小さく漏らしてしまう。  透さんの動きが、段々と緩急をつけたものに変化していくと、もう唇を合わせていられなくなる。 「 っあ、…… あ、…… っぁ」  濡れた鏡の表面に片手をついて、もう片手はその横にある手摺を掴んで、突き上げられる衝撃と快感を受け止める。 「—— とお、るさんっ、…… もっと……」  俺の一番感じるところを、もっと刺激して欲しいのに、言葉にするのが恥ずかしい。 「もっと? どうして欲しいの?」  乱れた呼気で、目の前の鏡が曇っていく。 濡れたガラスを手で拭うと、鏡の中の透さんは、余裕無さげな表情で眉を寄せていた。 「…… 直、もっと、甘えて」 「—— っ!」  その表情で、甘い声で囁かれると、羞恥心なんてぶっ飛んでしまう。 「—— 俺…の、一番好きなとこ、もっ…… と、突いてほし…… っ」  言い終わらないうちに、そこを何度も狙って攻められて、思考も侵されていく。  後孔から聞こえてくる、くちゅくちゅと泡立つような水音と、肌のぶつかる音にも煽られて、もう何も考えられなくなってきて、ただ、ただ、快楽だけを追いかける。 「…… っあ…… あぁっ! と……、おるさんっ」  透さんの片方の手が俺の腰を支えながら、もう片方の手は前に回って、俺の半身に指を絡めて扱き始める。 「あぁ…… っ、 あッ……」  後と前を同時に刺激されると、一気に水位が上がってくる。 「—— ッあ、 もッ、イキそ…… ッ」  俺が訴えると、中で透さんのが脈打って、また大きく膨らんだのを感じた。

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