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 —— Moonlight scandal(52)

「とおるさん、中に…… 中で…… イッて……」  透さんがイク寸前に、外に出ようとするのを引き止めたかった。  俺の我儘なお願いに透さんは、「でも……、」と、躊躇っている。  俺に負担がかかるからって、気を遣ってくれているのは分かってるんだけど。  でも、身体の奥で透さんを感じる時の、あの感覚が好きだから。 「…… 透、さん…… お、願い……」  後ろから突かれる度に、手だけでは身体を支えきれなくなって、湿気で濡れた鏡に頬をくっつけて、後ろの透さんに視線を向けた。 「…… 甘えても、いいんでしょ?」 「…… っ、」  小さく低い声が聞こえてきて、透さんの腕にしっかりと腰を引き寄せられた。  律動が早くなり、激しく腰を打ち付けてくる。  肌のぶつかり合う音がバスルームに一層大きく響き始めて、俺の半身を扱く手も加速していく。  深いところまで突き上げられて、身体が上下に揺さぶられる。 足元が滑りそうで、俺は手摺りを強く握り締め、額を鏡に擦り付けて、その衝撃を受け止めた。 「あっ…… っ……、あ……っ」 「大人になろうと背伸びする直も、可愛いけど……、」  透さんは律動しながら、耳元に唇を寄せて乱れた呼吸と共に、言葉の続きを囁いた。 「素直に甘える直は、最強に可愛いね」 「…… あっ、あっ……、イクっ……」  甘い声が鼓膜に響いた瞬間、快感が身体を突き抜ける。 吐精感が込み上げて腰や脚が大きく震えた。   目の前の鏡が、俺の放った精で白く濁った雫を幾筋も垂らす。  身体の中で透さんのが脈打つのを感じて、俺は鏡を見ようと顔を上げた。 透さんの、イク顔を見たくて。  でもそれは、後ろから顎を捕られて、唇を塞がれて、見る事は叶わない。  貪るようなキスをしながら、透さんが身体の一番深いところへ届くように、腰を打ち突ける。  次の瞬間、最奥にじんわりと広がる熱。  透さんは、キスを続けながら、ゆっくりと数回腰を打ち突けて、その度に最奥に透さんの熱を感じた。  咥内でお互いの舌を甘く絡め合わせながら、薄く目を開ければ、うっすら額に汗を滲ませて、伏せた長く黒い睫を震わせている透さんの顔が見えた。

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