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—— 幸せのいろどり(42)
唇の濡れた感触は、大晦日の夜の美絵さんのリップグロスと似ている。 だけど確かに違う、直くんの温もりと匂いに、どんどん身体が熱くなっていく。
最初は、ちょっと触れるだけ…… と思ったのに、口付けはどんどん深くなってしまう。
直くんの唇から漏れる吐息が、俺の中の欲を煽って、止まらなくなってしまっていた。
溢れた唾液が顎を伝い鎖骨へと流れて、胸元を濡らし、服の中へ滑り落ちていく。 運転席から助手席へ身を寄せて、その跡を辿るように舌を這わせていった。
「…… あッ……、」
堪えきれずに声を漏らして、俺の下で直くんの身体がビクンと震える。 みるみる赤く染まって熱くなっていく肌。
耳の溝を舌先で撫でながら、胸元の編み上げを解いて、服の中へ滑り落ちていった唾液の跡を指で辿り、硬く尖った胸の突起を見つける。
肌蹴た胸元や上気した肌や乱れた髪が、いつもよりも色っぽいのに、中身はやっぱりいつもの男の子の身体で、そのアンバランスに、余計に煽られているように思えた。
スカートの中へ手を伸ばし、太股から内側へ撫で上げて、下着の上からもう既に熱く硬くなっている半身を包むように握ると、直くんは、焦れったそうに、腰を浮かせる。
そうやって求めてくれるのが嬉しかった。
—— もっと、求めて欲しい、俺を。
俺の欲求は止め処もなく深くなっていってしまう。
俺がこんな風に思ってることを、直くんが知ってしまったら、引いてしまうだろうか。
だから、いつも俺は君の前では、できるだけ冷静さを装う。 本当は、この胸の中は熱く滾っているのに。
「あ…… ッ…… ん!」
耳に息を吹きかけて、「…… 可愛いね」と、囁いて、溝に舌を這わせると、下着の上からだけの刺激が焦れったいのか、直くんは身体を捩らせる。
「どうして欲しいの?」
もっと、と、それ以上を求めて欲しい、直くんから俺を。
君の欲しい快楽を、全部与えてあげるから、少しでも長く一緒の時間を過ごしたい。
「ち…… ちょくせっつ…… 触って…… ほしッ」
「了解」
フワフワしたスカートをたくし上げて、下着をずらし、直くんの半身を取り出して、指を絡めた。
できることなら、いつか離れてしまっても、俺のことを忘れられなくなるくらい、この快楽に溺れていて欲しい。
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