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—— 幸せのいろどり(epilogue4)
その身体を組み敷いて、直くんの咥内を犯しながら、着ているものを全て剥ぎ取っていく。
瑞々しくてきめ細かい肌は出逢った頃と少しも変わらない。 骨格がしっかりしてきて、成長した身体のラインや、程よく付いてきた筋肉が美しいと思う。
—— きっと職場の女の子にもモテるんだろうな…… なんて考えてしまう。
「…… 直くん、どうして今日は俺にサービスしようと思ったの?」
「…… だ…… って……、」と、理由を言いかけた唇から、熱い吐息が零れて、一呼吸言葉が途切れた。
「っ…… 透さん、もう……、もう、挿れて……」
後孔へ3本の指を挿し入れて、直くんの感じる処を刺激すると、堪らなさそうに腰を揺らしている。
「いいよ、じゃあ直くんが自分で挿れてくれる?」
仰向けになった俺の身体を跨いで膝立ちして、上から見下ろす瞳が情欲に濡れている。
「ん…… ぅ…… ッ」
後ろ手に俺のを支え、息を吐きながらゆっくりと腰を沈める直くんの顔が僅かに歪む。
その表情が扇情的で、俺の身体の中で熱が高まっていく。
ゆっくりと動き始めたその腰を、両手で撫で上げながら、さっきの質問をもう一度してみた。
「で…… ? どうして今日はサービスしてくれるの?」
「―― ッて、今日は……、イブだか…… らッ、アッ、あァ ……」
揺れる腰を掴んで下から突き上げると、直くんは言葉を最後まで言えずに、背中を反らせて嬌声をあげる。
後ろに倒れそうになった直くんの腰を支えながら、俺は上体を起こして、そのまま直くんの身体を押し、ベッドに沈めた。
耳元に唇を寄せて「昨夜、遅くなったからじゃなくて?」と囁くと、直くんは目を閉じたまま首を横に振る。
「—— ちが、う」
掠れた声で訴える直くんの唇をキスで塞ぎ、腰をグラインドさせながら奥まで何度も突き入れる。
「あーッ、あッ、ん、…… あぁッ……」
俺の動きに合わせてリズムを刻むように漏らす声が、段々と大きく高く変化していく。
直くんのことを、信じてないわけじゃないけれど、少しだけ、ほんの少しだけ…… 俺は嫉妬しているのかもしれない。
誰にもこの身体を見せたくないと思うし、誰にも触れさせたくないと思ってしまう。
それは、ただの杞憂だという事も、勿論分かっているのに、この気持ちをどうしようもなく持て余す時がある。
こうして身体を重ねている間だけは、お互いの事だけを考えられる。 そんな馬鹿なことを思ってしまう。
それほど、直くんを愛している……。
なんて、ただの重いだけの俺の勝手な気持ちだと分かっているのに。
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