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 ―― 幸せのいろどり(epilogue6)

 今日結婚した二人は、直くんの友人で、新郎の啓太くんは直くんが何でも相談できる幼馴染。  俺が啓太くんと初めて会ったのは、すれ違いで直くんの部屋の前で待っていた時だったな。…… と、ふとあの頃の事を思い出した。  俺と直くんが一緒に暮らすようになってからも、啓太くんは、マンションにも時々遊びに来てくれたりしていた。  彼女と恋人と呼べる関係になるまでも、直くんはいろいろと啓太くんの相談を夜遅くまで訊いてあげたりしていたけど、こうして二人が結婚して幸せそうにしている姿を、一番喜んでいるのは、もしかしたら直くんなのかもしれない。  そして、直くんはどう思っているんだろう。 これからの事を…… 自分の将来の事を。 「直くん、これ、直くんにあげようと思ってたの」  突然、友人らに囲まれていた輪の中から、新婦のゆりさんが直くんのところに駆け寄って来て、ウエディングブーケを差し出した。 「―― え?俺に?」  目を丸くして驚いている直くんに、ゆりさんは、「うん。 受け取って」と、にっこりと綺麗に微笑んだ。 「え…… だって、ほら、みんな花嫁がブーケ投げるの待ってるじゃん。 俺が貰ったら怒られるよ」  躊躇している直くんに、「ゆりは、お前にも幸せになって欲しいって言ってるんだよ。 もらっとけよな」  と、啓太くんが、横から直くんを肘で小突きながら、ボソボソと耳打ちしている。 「…… え、なんで俺なの……」  そう言いながらも直くんは、白い薔薇とグリーンの葉が清楚な感じの可愛らしいキャスケードブーケを受け取って、大事そうに胸に抱えた。 「―― じゃあ、これは透さんに」 「え?」  直くんに気を取られていたら、啓太くんが俺の左胸にブーケとお揃いのブートニアを付けてくれていた。

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