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―― 聖夜と生クリーム味の……(16)
透さんにされているこの行為は、ありえない事の筈なのに、嫌と言う気持ちが全然無くて……。
でも、こんな事しちゃ駄目だ、受け入れちゃいけない事なんだ、拒否しなくてはいけないんだって、頭の中では解ってる。
だって…… 相手は男なんだから……。
「…… やッ…… やめ…… ッ」
その行為を止めさせようと、透さんの肩を手で押しやろうとするけど、両手首を掴まれて、そのままソファーに押し倒された。
「…… ッ…… ん」
小さ過ぎた抵抗の言葉は、唇で塞がれて、あっけなく透さんの咥内に吸い込まれていく。
すぐに俺の舌は、甘く絡め取られて、咥内を熱で蕩けさせられてしまう。
掴まれていた手首も、いつの間にか力を失っていて、気付かない内に透さんのキスに応えている。
薄く瞼を開ければ、至近距離で、情欲に濡れた漆黒の瞳と視線が絡んだ。
「…… っ…… ふ…… ん、ん……っ」
俺の体の上に覆い被さるようにして、透さんは更に深く唇を重ねてきた。
透さんの足が、俺の閉じていた膝を割り入ってきて、軽く股間の辺りを刺激している。
—— え?…… 待って、待って! これって、もしかして、本当にヤバいんじゃないの?
このまま流されたらダメなんじゃないの?
男の俺なんか相手に、なぜか本気になってるみたいだけど、もしかしたら透さんだって、ただ酔っ払ってるだけなのかもしれないし。
そうだよ。 なんでだかこんな状況になってるけど、やっぱり帰るって、はっきり言わないと!
「あっ! あのっ!」
「ん?」
なんとか首を横に振り、やっと唇を離して、声を出した俺を、透さんは不思議そうにじっと見つめてる。
「あの…… やっぱ、俺……」
「帰りたい?」
—— うっ……
帰りたいってのとは違うんだけど…… 帰らないとやばい気が……。
「…… 寂しいな……」
そんな綺麗な顔で、寂しそうな目で見つめられたら、何も言えなくなってしまう……。
「男の俺にこんな事されるの、嫌だよね……」
「い……」
—— 嫌って言うべきだよな…… って分かってる。 だって男同士だもん。
でも……、嫌か?って訊かれたら、嫌じゃない俺って、いったい何なんだろう?
「透さんは、男でもいいの?」
答えに困って、思わず馬鹿な事を訊いてしまった。
透さんは、一瞬だけ驚いた表情を見せたけど、すぐにクスッと笑う。
「俺も女の子の方が好きだったはずなんだけどね……。でも、直くんだから いいと思ったんだ」
「え…… ?」
俺だからいい…… ?
「直くんは? どう思ってる? 俺のこと」
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