―― 迷う心とタバコ味の……(11)

「透さん、キス……」  最後まで言葉にするのも、もどかしくて、噛み付くように、自分から唇を重ねた。  透さんにとって、これが遊びなら、それでもいい。  ただ気持ちいいことをしたいだけなら、俺もいっしょ。今まで幾度も、女の子と、そういうことあったじゃないか。  だから、何も悩む必要もないんだ。  それなら、お互いに、もっと気持ちよくなれるように、余計なこと考えなければ…… 今が楽しければそれでいいじゃないか。  熱く濡れた舌が、咥内で縺れ合い、口端から零れた唾液を透さんが舐め取っていく。  もっと深くと、角度を変えては、お互いの唇を貪った。  キスをしながら、少し身体を離して、お互いにボトムも下着も脱ぎ捨てて、また抱き合ってキスをする。  透さんが俺の耳朶を食めば、お返しとばかりに、俺は透さんの首筋に舌を這わせた。  お互いを激しく求め合う、恋人同士のようにも思えるし、ただ快楽を求め合う、ゆきずりの情事のようにも思える。  どっちでもいいや。  どっちでもいいなら、俺は……。  透さんに、きつく抱きしめられて、お互いの汗ばんだ肌が、ぴったりと合わさると、胸の奥から熱くて、どうしようもなく切ない感情が込み上げてくる。  愛されているような、愛しているような。  それはきっと、錯覚だけど、今だけでも、そう思いたいような……、そんな気がしていた。  入りやすいように、自分から脚を開けば、透さんは指先で後孔を割り開き、熱く濡れた先端を埋め込んでくる。  そこに受け入れるのは、今夜が2度目。  1度目よりはラク。 だけどまだ少し辛くて、思わず力が入ってしまう。 「……っ、ああ、ッ……」 「大丈夫? 痛かったら、もう少し解そうか」  優しい言葉に、胸の奥の感情が表に出てしまいそうで、それが痛みよりももっと苦しい。 「―― ん、ん、大丈夫だから……、全部挿れて……」  早く、何も考えられないくらいに、して欲しかった。  俺の気持ちに応えてくれるように、透さんが身体の奥へと挿ってくる。 「んッ…… あぁっーー!」  苦しくて、でも熱くて、ぞくぞくして、透さんの首に、しっかりとしがみ付いてしまう。  奥まで全部埋め込んだところで、透さんが、熱の籠った吐息を零した。  たとえ、これが遊びでも、透さんが感じてくれているのが嬉しい。   「あ、っ、…… ああ、っ」  揺さぶられる動きに合わせて声を漏らしてしまう俺を、透さんは優しくて切ない瞳で見下ろしていて……。 「…… 気持ちいい? 直……」 「―― っん、気持ち、いい……」  律動しながら、そう訊いてくる透さんにも、もっと気持ちよくなって欲しいと思った。  俺は、透さんの腰に脚を絡めて密着させて、一気に身体を反転させた。  俺が透さんの上へと、体勢を変えると、透さんが少し驚いた表情で俺を見上げていた。  ポタポタと、額から汗が落ちて、透さんの頬を濡らしてしまっている。 「俺、上になってもいい?」  透さんにも気持ちよくなって欲しいって、そのことばかり考えてたから、勝手にこんなことして良かったっけ?って、そう心配になったから訊いたんだけど、透さんは、俺の言葉に、クスクスと笑う。 「…… もう、なってるよ」  二人で顔を見合わせて、俺もつられて笑ってしまっていた。  ゆっくりと腰を揺らせば、透さんの手が俺の半身を包んで上下する。 「…… あ、…… あ、あっ」  腰を掴まれて、下から突き上げられると、透さんの熱が中を押し上げて、融けてしまいそうに熱くなる。 「…… 透さん、…… あ……っ、あ、…… ンッ」  身体の奥を駆け巡る熱に、透さんに愛されてるのかも…… なんて、また考えてはいけないことを考えてしまうけど……。  それでもいいかな…… なんて思い始めてる。  こうして身体を重ねている時は、お互いに愛を持っていると思い込めば、いいんじゃないかって。  たとえ、それが遊びだったとしても。
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