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 —— 迷う心とタバコ味の……(37)

 ―― いい気になり過ぎた罰……。  桜川先輩の言葉に、啓太の言ってたことが頭を過ぎった。  ―― あんま遊び過ぎんなよ……。  啓太は、こうなる事を心配していた?  身体が熱くて、頭はぼんやりとしてきて、思考が途切れ途切れになっていく。  桜川先輩が、俺の着ているジップアップニットの前をゆっくりと開いていることにも気付かなくて……。  ニットの下に着ているシャツのボタンを外していく指先が素肌を掠めて、ゾクゾクと背筋が粟立って、はっと、我に返った。 「…… あ、あのっ……」  その手を止めようと漸く出せた声は、情けないくらいに掠れてる。 「気分悪いんでしょ? 胸を開けた方が楽になるよ?」  そう言いながら、桜川先輩はボタンを外す手を止めない。  気が付けば、くっくっと愉しそうに喉を鳴らしながら、他の二人もすぐ傍の椅子に座り、こちらを眺めている。  気分が悪くて胸を開けた方が良いのは、そうかもしれないけど、でも!この空気が怪しいのは、俺にだって分かる。  桜川先輩の眼鏡の奥の眼が怪しく光り、危険を確信した俺は、取り敢えず逃げようと、上体を起こして立ち上がろうとした。 「あ…… ッ……、」  でも、力の入らない足は呆気なく崩れて、ただズルズルと床へ座り込んでしまう。  ―― やばい!  何をされるのか分からないけど、早く逃げろと警鐘が鳴り響いてる。  だけど、逃げないといけないのは分かってるのに、思うように動けない。 「あれ? 床の方がいいの?」  桜川先輩は笑いながら床に座り込んだ俺の真後ろの椅子に座り直すと、自分の足の間に背中を引き寄せて、肌蹴たシャツの間から手を滑り入れた。 「や、め……」  少し触れられただけでも、なぜか勝手に身体が震えて、ごまかす事のできない熱が、下半身に集まっていく。 「あれぇ? 何これ、キスマーク?」  椅子に座って眺めていた先輩が、胸に付いている薄い痕を見つけて、近付いてきた。 「あ、なんだ? ゆりに付けられたのか?」  違う…… これは車の中で、透さんが付けた痕だ。 「やっぱり、さっきトイレでヤッたの?」 「ち、がうッ……」  桜川先輩は、ゆり先輩の事は関係ないって言ってたのに、やっぱりそれが気に入らないのか。 「ふうん、嘘が下手だね、直」 「嘘、じゃ、な……ッ」  言いたいのに、上手く言葉にする事が出来ず、再び動き出した桜川先輩の手に翻弄される。 「触、んな……」 「罪を犯した子には、お仕置きが必要でしょ」  お仕置きって、なんだよっ…… つか、なんで先輩に身体を触られてんの? 「なんで……」 「ゆりはね、直とのセックスが忘れられないんだってさ」  何、言ってんだ、この人。 「でも直は、ゆりだけじゃないんでしょ?」  女の子食べ過ぎて、いい気になり過ぎた罰って事? 「いけないね、そう言うの。俺嫌いだな」  敏感になり過ぎている、胸の尖りを爪で弾かれて、抑えられない嬌声をあげてしまった。 「ア…… ッ…ンンッ!」 「へえ、良い声で啼くじゃない」  待って…… まさか俺って、ここで先輩達に犯られるの? 先輩達はノンケじゃないの? 「ちょっと、そそられるなぁ。 ヤルつもりは、無かったんだけどさー」  そう言いながら、とっくに硬くなっていた胸の両方の尖りを、同時に指の腹で転がされて、それだけで今まで感じた事のない快感が身体を駆け巡った。 「ん…… ぁ…… アアッ、やめ……ッ」

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