62 / 351

 —— 迷う心とタバコ味の……(38)

「おい桜川、本気かよ」  目の前にしゃがみ込んで見ていた先輩が、愉しそうに桜川先輩を見上げた。 「本当はね、こうして男の手で善がってるのを写真に撮って、構内の掲示板に貼ったら、面白いかなーって、思ってたんだけどね」  ―― 何て恐ろしい計画を立ててるんですか、桜川先輩! 「でも、喘いでる顔が可愛いから、最後までやっちゃおうかなーって」 「マジかよー」  店内に響く3人の笑い声。 「俺ね、男もイケるんだよね。 何なら、ハメ撮りとかもいいかもね、俺の顔は写さずにね」  桜川先輩は笑いながらそう言うと、俺の顎をぐいっと掴み、俯いた顔を上げさせられて……  ―― キスされるッ  反射的に顔を逸らしたけど、避けきれずに唇の横を舐められて、また身体が震えた。  ―― しかも、今、ハメ撮りとか言った? 冗談じゃないっ! 「乳首だけで、随分感じているみたいだけど、下の方はどうなってんの?もうキツイんじゃないの?」  クックッと笑いながら、俺の顔を覗きこむ。 「脱がしてやんよ」  目の前にいた先輩が、俺のベルトをカチャカチャと外そうとしている。  ちょっと待って。 これマジなの? 何か悪い冗談だよね?  だけど、抵抗しようとした手は、背後から桜川先輩に拘束されてしまう。 「や、めっ……」  ジタバタともがく足は、もう一人の先輩に押さえ付けられて、ジーンズと下着を一気に膝の辺りまで下ろされて……  俺の意思なんて関係なく、すっかり猛ってしまっている半身が、空気に晒された。 「あれぇ、ホントに胸だけで感じちゃった?」  さっき、ゆり先輩とトイレでイチャイチャしてても、何の反応も無かったのに、今は痛いくらいに主張していて、既に先走りで濡れそぼっている。  ―― なんでなんだよ…… ホントになんか、身体が変なんだけど……。  耳元で「淫乱だな」と、囁く桜川先輩の手が伸びてきて、俺の猛りきった半身を撫で上げる。 「ア…… あっ……」  予想以上の刺激に下肢が震えて、吐息と共に甘すぎる声が漏れてしまった。 あともう少しでも刺激を与えれば、即効で達してしまいそう。 「ねえ直、自分でして見せてよ」  ―― え? 「もう、イキたいんでしょ?だから自分でやりなよ」  そう言いながら、桜川先輩が俺の耳を舐めあげた。 「あ…… ン…… は…… ッ」  クチュクチュと耳の中に舌を入れられて、堪らずに腰が浮く。 「や、やめッ」 「ほら、早く自分で触りなって」  もう、どうしようもなく、イキたくて手を伸ばそうとしたその時、デジカメを構えている先輩の姿が視界に入った。  駄目だ、こんな自分でヤッてるところを撮られるのは、絶対嫌だ!  辛うじて残っていた理性で手を止めると、耳元で桜川先輩がクスクスと笑う。 「どうしたのー?早くやらないと、後ろ、いきなり突っ込んじゃうよー?」  悔しくて、悔しくて、涙が滲んで視界がぼやけた。

ともだちにシェアしよう!