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季節がら汗くさくはないけれど、体も髪も綺麗にした。
いつも顔の上半分を隠している前髪は、アップにしてピンで留める。
「………んっ」
唇を軽く噛み、腕を伸ばす。
目を瞑って、固く閉じた蕾に指を当てる。
自分以外の誰も居ないのは分かっていても、抱かれる準備をする時は羞恥がつきまとう。
「恥ずかし……、でも、秋斗さんに…」
大好きな人に喜んで貰えるなら…。
「ちょっとだけ、我慢。
久し振りのえっちだし、……恥ずかしいのは…我慢」
大好きな人を思い浮かべ、霖は抱かれる為の準備を進めていく。
観葉植物に隠れてした、甘いキス。
霖の舌を絡めとり、舌の根を掠め、上顎をなぞった熱い舌の感触…。
思い出すだけで胸の飾りはツンと芯を通らせ、シャワーの雫でジワリと熱を持つ。
ここで下腹の熱を吐き出せば楽になるのは分かっているけれど、秋斗に中を突き上げて貰っての放熱でなければ意味がない。
「………我慢だよ、僕…」
じっくり解してから、バスルームを後にした。
風呂上がり、手持ちぶさたに溜め息をつくと、スマホが震えた。
『やっと専務が帰った。これで帰れる』
「………っ、ふあ…!」
待ってる、と返信する。
大好きな人からの報せに、心は一気に浮き立った。
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