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微かにバスルームから水の音がする。 広い肩や背中を打つ雫、息遣い…、漂う大人の色気…。 想像するだけで、体の中に熱が生まれる。 「うう…、僕、お預け食らった犬みたいだ…」 急いで帰って来た秋斗(あきと)は、ただいまのキスも無く風呂に駆け込んだ。 喘息持ちの自分を気遣っての事だと分かっていても、それがとてつもなく寂しい。 「少しくらい煙草臭くたって、秋斗さんなら平気なのに…」 膝を抱えてじっと待つ。 「早く出て来て…。僕、もう頭の中グルグルだよう…」 秋斗は大人だから、いつも霖(りん)の希望を聞いてくれる。 でも、喘息の発作を起こすとなれば話は別だ。 気遣ってくれるのは嬉しいけれど、やっと帰って来たのにキスもハグも出来ないのは拷問に近い。 「はううう…」 コロンと床に転がり、バスルームに続くドアを見つめる。 「秋斗さん…」 久々の三連休を控えた金曜の夜。 霖は体調を万全に整えて待っていたのだ。 「早くラブラブしたいよぅ…」 あまあまラブラブの準備も済ませた霖には、待ち時間が無限に感じられた。

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