11 / 14
・
中盤のイベントの場面。
氷の中に人影が映る。
「右が父さんで、左が兄さんだよ」
「お、おう」
氷も映像だと分かっていても、本物のように見える。
「どうやれば立体的になるんだ?
こんな…」
「プロジェクターの位置がポイントなんだよ」
「あっ、そうか…ここ…」
「そ。観客席からは見えにくい所に、プロジェクターが隠されててね。ここと、ここ…。それから、ここにも」
「………凄い…っ。
これが現実になるのか?」
「うん。
会場の見取り図にも置く場所と角度を入れてあるからね」
「ああ…。う、うわ…っ」
氷が粉々に砕けて弾けた。
その氷の粒が雪の結晶になり、舞い上がる。
「これ、実際の雪の結晶を撮影したやつか?」
「ううん。僕がCGで作ったよ。
何種類だったっけ…」
「凄いな、透明感がある。CGじゃないみたいだ…」
舞い上がった雪が星と共に降ってきた。
「どう…?秋斗さんがイメージしてるのとズレてなきゃいいんだけど…」
「ズレてないどころか、俺が頭の中で思い描いてたイメージそのもの……。いや、それ以上だ。
凄い。凄いな、霖…!」
クリスマス直前に行われる、国内最大級のファッションイベント…。
そのイベントに使うプロジェクションマッピングが、どうしてもしっくり来なくて困っていたのだ。
ともだちにシェアしよう!