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ゴーグルを外し、秋斗は霖の髪を撫でる。
「やっぱり、霖に頼んで良かった」
「ホント?本当に?」
「ああ。今まで何回かマッピングを使った事があったけど、こんなに綺麗な仕上がりのものは初めてだ」
「………っ、嬉しい…っ!」
ギュウッと抱きつくと、秋斗もぎゅうぎゅう抱き返してくれた。
「ごめんな」
「………どうして秋斗さんが謝るの?」
「目立つのが苦手なのに、引っ張り出したみたいになったろ?」
「………」
確かに、霖は目立つのが苦手だ。
両親が現役のトップモデルだし、兄も内外に知られたモデル…。
背が低めでかわいらしい顔つきをしている霖は、背が高くて正統派の美貌を誇る家族と常に比べられて生きてきた。
時にからかわれ、時に虐めの対象になっていた霖。
目立たないよう、容姿を知られてしまわないよう、息を殺すように生きる霖に、家族は心を痛めていた。
「でも、霖はもう小さい子供じゃない。
こんなに凄い仕事をするようになったんだ。
自信を持とう」
「…………」
「確かに家族の皆は凄い活躍をしてる。
方向が違うかも知れないけれど、霖も凄いんだ。
モデルとしてみんなと並ばなくても、いや、皆をもっと輝かせる事をしてる。
自信を持て」
「…………っ」
秋斗の言葉に、霖は言葉を詰まらせた。
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