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第4話 告白

 弓月から告白をされて一週間。  清十郎は何もかも手に付かない心理状態だった。  まさか、息子の友達に告白されるなんて思ってもいなかった。  はるとが大成を恋人だと言って連れて来た時よりも驚いた。  清十郎はそんな弓月の気持ちを知り、驚きと戸惑いを感じ、すぐにその返事を返した。 ---ありがとう。ごめん……。  その二言だった。  その返答に、弓月はニコッと笑い、ごめんなさい---そう悲しげに言ったのだった。 「こんなおっさん……何処が良いのか……」  就業後、デスクに一人残っていた清十郎は、昨夜の事を思い出し、ボソッとそう言葉が出た。  だって、こんな二十三も年の差があるオヤジを好きになるなんて普通ないだろ。……もしかしたら、弓月の場合、父親の存在を求めているって事もある。  施設で育った弓月は、恋愛と家族の愛情がごっちゃになっているのかも。そう、ふと感じた。 「って、分かった瞬間傷付いてる俺……」  そう分かったのに、心の中で傷付いてる自分がいて、清十郎は自分の心が良く分からなくなった。  こんな気持ち、初めてだ。  男と出て行った元妻にも、こんな風に想った事はない。まぁ、それが逃げられた原因でもあるのだと思う……。  清十郎は、元妻を愛してなどいなかった。  遊んでばかりいた若かりし頃の清十郎は、大学四年の時に猛アタックして来た女と一度だけ寝た。その女に子供が出来てそれを認知する為、結婚に至ったのだ。  その女が元妻。そして、その子供がはると。  今思えば、はるとが本当に自分の子なのかも疑ってしまう。  一度寝ただけで子供が出来るのだろうか。それに、ちゃんとマナーだって守っていた。  穴が空いていたなら別だけれど……。  それについて何度も考えた事がある。でも、元妻が出て行った時に、暗闇の中一人はるとが置いていかれている姿を思い出すと、この子には自分しかいない。そう、強く思うので、その考えはもうない。  はるとがいなければ、今の真っ当に生きている自分はいない。  そう思うのだ。 「なんで振った事後悔してんだよ……」  ずっと、弓月の顔が頭に浮かぶ。  悲しげな表情は、思い出すだけで心が痛む。でも、自分の返事は間違っていない。  弓月みたいな清流のような綺麗な子が、こんな汚れたおっさんに囚われてなどいけない。  清十郎は、そう心の中で自分に言い聞かせた。

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