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出逢い 2
驚きはすぐに怒りに変わった。
ゴミを捨てにいけないじゃないか!
「ちょっと、あんた!じゃまなんだけど。」
掴んでいたゴミ袋を下に降ろすことにまた腹がたつ。なんで、こんなところに男が転がっているんだ…
「ちょっと。」
しょうがなく肩を揺する。
コツンと頭が玄関のコンクリートに当たって、しらない顔が見えた。
スッキリした顔だな…自分のバタくさい顔が浮かんできてイライラする。
「ちょっと!」
今度は強く揺さぶる。男はノロノロと目をあけて惚けたあと目を見開いた。
「え?なんで俺の部屋にいるの?」
予想もしていない言葉を投げかけられると、自分が悪いことをしているような気になる。
また心の底に押し込めていたものが・・・溢れてきそうになる。
『ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・』
ただただ謝っている自分が蘇り目の前が白くなり始めて・・・
「ちょっと、おい、大丈夫か?」
肩をつかまれて、自分が座り込んでいることに気がついた。
ノロノロと目線を向かいの男に合わせると、パーツはスッキリしているのに、どこかむくんだ顔。
あ、転がっていたのに起きたんだー僕が思ったのはそんなバカみたいな事だった。
「えっと、なんで俺の部屋にいるのかな、君。」
何を言われているのかわからない。僕は僕の部屋にいるだけだ。
「ここは僕の部屋だよ。」
詰めていた息をゆっくり吐き出すと、少し落ち着いた。
こんな南の遠くの場所に逃げてきたというのに、いまだに僕は掴まったままだと実感してしまった。
まだ…まだ、僕の中にいるこの存在は消えていない。
「ここ、何号室?頭いてっ。」
酔っぱらいなのか?顔のむくみはそのせいか。
「302」
言われたままに、番号だけ答えた。
こめかみを指で押しながら男は僕を見る。一瞬の沈黙のあと、大笑いしはじめた。
大笑いする人間を久しくみていなかったので面食らう。
笑うのって楽しいんだろうね。
「そりゃ~カギがあかないはずだ。何回鍵をまわしても開かないんだよ、ドアがさ。
階をひとつ間違ってる。ここ3階なわけね。」
ああ、ガチャガチャいわせていたのはアンタだったんだ。
「飲み過ぎたんだろうな、頭痛いし。ドアの前で寝ちゃったみたいだから、あちこちイテ~し。なんかごめんね。じゃあ、俺帰るわ。」
言うことだけ言った男は立ち上がり、エレベーターに向かって歩いていった。
僕は玄関に座り込んだまま、ごみ袋を見つめていた。
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