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茜 1
「つながらなくなった…。わかりました。御調べいたしますので、まずご契約内容を確認させていただきます。」
機械のように決められたセリフを口から吐き出して、問題の切り分けを始める。
つながらないって・・・もう少し細分化した要因をいってくれればいいのに。
契約内容は問題なし、さて、回線か?PCの問題か?
僕は深夜のコールセンターで働いている。22:00から7時間。
一番時給が高い時間帯だし、ゴミだし以外は明るい時間に寝ていられる。
電話の向こうで不具合を訴える相手や文句と対峙しながら時間をやり過ごす深夜。
ヘッドセットと目の前のPCの画面が僕と相手をつなぐツールだ。
顔が見えない人間に責められることに慣れないといって辞めて行く人間も多い。
そして時給の高さにつられて替わりはどんどんやって来る。
同僚とコミニケーションをとる必要がないから気が楽だった。
モクモクとこなして、帰る。そしてまた翌日ここにくる。
誰かの不具合と、不満を聞いて…
ゴミを捨てる日だけ、明るい外にでる僕。
毎日たくさんの人と話すけれど、本当の意味では誰とも話をしていない。
そんなふうに流れる時間・・1日・・1週間・・・1ケ月。
そして明るい時間、泥のように眠って・・・眠って。
やりすごすんだ…僕の心の底の存在が噴き出さないように。
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