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予期せぬお客さん 3 

「僕は訪ねてくる妹を待っていた。 呼び鈴がなったのでそのままドアをあけたら、知らない女性がいて。 『あなたが女だったらこんな・・・!』そう言われて、その人が誰だかわかった。 僕は謝ったよ、でもそれがよくなかったのか、逆上したように歪んだ表情で、近づいてきて。 動けなかった・・・ただ謝るしかなかったのに。それ以外何ができる? 気が付いたら息ができなかった。渾身の力が喉にかかっていたからね。 来るはずの妹がやってきて僕からひきはがしてくれて・・・気が付いたら僕は病室の天井をみあげていたよ。」 「殺されかけたわけ?」 ああ、そうだよ。 「助かって、よかったわね・・・。ほんと」 おざなりの言葉なんかいらない。じゃあこれを聞いたら僕に何て言ってくれる?静香さん。 「病室で両親は僕と目を合わせることはなかったし、以来口もきいていない。逢ってもいない。 『こんな子に育てた覚えはない』そう言われただけだ。 それが最期に僕が聞いた言葉。たぶん本当に最期の言葉になるだろう。 あの人の奥さんは・・・流産した。文字どおり僕が殺した。 大事な人の分身なのに、それを僕は殺してしまったんだよ。 だからここに逃げてきた。 ずっと埋もれて過ごしてきたんだ・・・ここでね。 過去にガンジガラメだ、僕は新しいことなんかはじめられない。 あなたが心配することなんか何もできないんだよ。もう・・人のものには近づきたくない。」 「御気の毒・・・としかいいようがないわ。でもね、言わせてもらえば」 まったくひるむ様子のない静香さんがいた。 僕らは不幸自慢でもするように、相手に負けまいとするように挑むような顔で互いに視線を交わす 「確かに、あまり経験したくない部類の話だし、本当に生きててよかったわねとしか言えない。それがどんな気持ちかなんて、経験していない私にはわからないしね。 ただ、敦もあなたもだけど、特別自分が不幸だと思っているのが私は許せない。」 「特別不幸?」 じゃあ、なにか?静香さんも殺されそうになったことでもあるって言うのか? 「敦も、相手が同性だからより不幸なんだと思ってるでしょ? 同性を好きになる性分だからこんなにキツイ目に会うって、そう考えてるでしょ?」 普通に男を好きになる静香さんに何がわかる!何かと不自由なこの生き方の何がわかるんだ? 「私が言いたいのは、不倫の末に修羅場になって、あなたみたいな経験をした女性だっているってことよ。敦みたいに社内の恋愛が仕事に影響することだって世界中で起こってる。 たしかに偏見とか、そういう面が加味されるとはいえ・・・ 何が不幸なのかって、好きな相手に想いが届かないことじゃない! そんなの男だろうが女だろうが一緒よ? 普通に女の子を好きになるような人間だったらこんな目にあわなかったのにって思っていない? 普通に異性を好きになって殺傷ざたになってる例だってたくさんあるじゃない! 好きな人と一緒にいられないことが・・・不幸なのよ? それがどんなにつらいか、私が一番よく知っている。 あなたは相手と幸せな時間を過ごしたんでしょ?私よりマシよ」 僕は言葉を失った・・・ 「普通」だったら、それだけで幸せになれるんだと漠然と思っていた。 「普通」じゃないからキツイ目に逢ってしまったのだと、確かにそう・・・思ってきた 「敦が私を好きになるのに同性の方が都合いいっていうのなら、なれるんなら喜んで男になるわよ。でもなれないじゃない・・・。 弱ったあいつにつけこんでも結局は何も得られないし、私の好きだった敦にも戻せない。 降ってわいたようにあなたが現れて、敦を持っていかれて・・・。 男と女だからってうまくいくわけじゃないのよ!」 溢れそうになる涙をこぼさないように天井に視線を向けて、泣くまいとする静香さんを 僕はぼーっと見ていた。 そうか・・・誰もが足掻いているのか・・・ 端っこの二人が特別なんじゃない。 自分にとっての特別である人と一緒にいることに陰も日向もないのだと、気がつかされた 「そんな風に考えたことがなかったから・・・。」 「だから言ったじゃない。不幸ぶらないでって・・・。ところで、まだボトルある?空いちゃったんだけど」 涙との格闘に勝利した静香さんが決まり悪そうに言う 僕は笑いながら立ちあがった。たしかまだ開けてない赤があったはず。 ワインを飲みながら、もう少し・・・静香さんと話をしよう 僕はこの人を好きになりはじめていた

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