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あの人 1
「さち?千歳についたよ。円山に一本でいけるから時間かかるけどバスに乗る」
「何時頃?」
「たぶん二時くらいかな」
「うん、わかった。場所・・わかるよね?」
「うん。じゃあまた」
3年ぶりに帰ってきた。やっぱりここの空気は軽い。
痛いような陽射しもなければ熱を帯びた空気もない
『でも本当は、雪がみたい』
・・・三田さん。ようやくここまでこぎつけたよ
あの時言いたかったけれど、言わないままにしてきた言葉を、あの人にぶつける。
手帳から写真をとりだす
ずいぶん・・・昔のことのようだ
隅っこの二人はいつもと同じく笑い、自分たちだけの世界があると信じている
いっさいが、すべてが過去になってしまったけれど、僕はやっぱりこの写真が好きだ
今の僕とは違うけれど、誰かとこうやって生きていきたい
そして今度は隅っこじゃなく・・・真ん中で・・・生きていきたい
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