眩しい、痛い、それにバカみたいに暑い。 　初めて来る南国は陽射しからして別の国のようだ。ヤシの木が道路の両側に高々と並び、真っ青な空と海は同じ日本であることを信じられなくする。 　結局自分の心を持て余したままに、三田の住んでいるという街に来てしまった。来たら何かが変わるかもしれないと思ったが、実際同じ土地の空気を吸ったところで現実は何も変わらない。自分の気持ちも自分で理解できないままでは変われるはずがない。 　バスの窓から見える景色をみているだけで汗がでる。外の空気に纏わりつかれたら、少しでも解放できるだろうか。 　いい加減「昔のこと」から自分を解き放ってやりたい、それが本音。