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雨の先・・・そして 6
「山田、お前予約ぐらいしとけよ~」
佐伯がブウブウ文句を言って、山田がゴメンを連発。俺はその後ろを歩いている。
「いやなんかさ。ここの繁華街ってこじんまりってか、そんなに人もいないね。
店はいろいろあるけど、そんな広くないね。」
「その、そんな人もいない街だからって油断するから店に入れないんじゃね?俺ら。」
結局行こうとした店は満席で入れなかった。やむなく山田が最初にいこうとしている店に向かっている。
これじゃあ、なんのために三田に連絡したのか、まったく意味がない。
「住所が〇条〇丁目じゃなく通り名だとどっちがどうかわかんなくない?
おまけに東西南北わかんないしさ。札幌だと住所でたいがい着けるのに。」
確かに・・・。人に聞くと「その通りを西に」などと返されるが、住所に東西南北もない。
「二本むこうの通りにある」そう言われて向かっているが、あっているのかもわからない。
先に見える「二本向こう」は暗くて静かだし、道も狭くなっている。
「俺もっかい聞いてくる。」
山田がそういうので、俺と佐伯はそのまま立ち止まった。
「末次.・・・お前あんま山田せめるなよ?」
「責めてないだろうが、お前が率先して文句言ってるじゃないか」
「てか、お前ぶーたれすぎ。」
「・・・わかってるよ。二人は悪くない。」
「まったくだ!いいかげんさ、お前すっきりさせたほうがいいんじゃね?」
「・・・すっきりって・・・何をだよ。」
煙草に火をつけることで佐伯の作った沈黙はありがたかった。
「何があったかしらないけどさ。
あんな幸せそうでかわいい顔してたお前が、すっかり暗い男になっちゃってさ。人生損してるぜ、まじで。」
わかっている。俺が・・・俺自身が誰よりもこの悪循環から解放されたい。
雨の日に限ってみる夢からも解放されたい。
後悔なのか、それすらもわからないこの答のないモヤモヤをどうにかしたい。
「・・・わかっているけど、どうしようもないことだってある・・・」
「じゃあ、相手にどうにかしてもらえよ。」
いつになく佐伯がやさしい口調で言った一言が胸に堪えた。
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