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雨の先・・・そして 7
結局なかなか帰ってこない山田が歩いて行った方向に二人で向かう。
「自販でビールでも買っちゃおうかな。」
「おい・・佐伯。座って最初の一杯のみたいだろ、プハ~ってさ。」
「そうだけどさ、末次はぶーたれてるし、山田に任せたら俺ら地鶏どころかビールも飲めてないんだぜ?
挙句、もうちょい先に見えてる様子からして、あいつはまだ店を尋ねているって感じだしな。」
何の切抜きだかわからない紙を片手に道を尋ねている様子をみて、思わず笑みが浮かぶ。
「ほんと、トロくさっ」
頭を後ろからポンとこずかれ、佐伯に文句を言おうと顔をむける。
「お前、ここきてようやく笑ったな。久々にかわいい正巳ちゃんを見られました!」
口のはじだけでニヤリとされて、少しだけ自分のイライラがバカバカしく思えた。
色白いな、この人。こっちの人間は色黒いのに・・・。
山田が道を聞いていた男性は俺達と同じくらいの年に見えた。
色の白いやさしそうな雰囲気だったので、山田に声をかけられてしまったのだろう。
「どうしても行きたいなら、行くといいけど、あんまりおすすめしないよって言われてたとこ」
「山田、お前ほんとセンスねえ~な。三田にもおすすめしないけどって言われて、教えてもらったとこには入れず仕舞いで、また『おすすめしないけど』 って言われてるわけ?」
佐伯に言われて山田がブスっとする。
「ぶーたれてんのは俺だけで結構。で、どうする?
とりあえず行ってみよ?宮崎にまできてコンビニはいやだぜ?俺」
さっき、佐伯に言われて少しだけ自分のイライラに埋まっているのもどうかと思った俺はそう言ってみた。
「そうだな、俺ビール飲みたいし。山田じゃ頼りないからさ、末次お前道おしえてもらってよ」
佐伯に言われなくてもそうするつもりだった。
うまい酒を飲んだら何かがかわるかもしれないし。
「えと、じゃあ、今いる通りが地図のどこになるんですかね?」
「郁?どうした?」
俺の声と、同じタイミングでかぶった声
この声・・・
『正巳・・・ごめんな』
俺が雨の日にしか聞けなくなったかつての声・・・
振り向くとそこには三田がいた・・・
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