57 / 64

雨の先・・・そして 13

「佐伯がさ・・・自分でどうにもできないなら相手にどうにかしてもらえよって言ったんだ。」 頬杖をついた三田が俺を見る。 俺のようにモヤモヤした思いもないかのように、すっきりとした表情で見つめられて、なんだか腹が立つ。 「・・・俺といて楽しくなかったのか?三田は。」 三田の顔が自嘲的な笑みを浮かべる。 なんで・・そんな顔をする? 「そうだ・・な・・・。しんどかった。」 しんどかった・・・。三田がいなくなってから俺はずっとその状態だった。 でも三田がいたとき、俺は何もしんどくなかった・・・ 「俺のこと好きだったか?正巳。」 心臓がひっくりかえりそうになった・・・。俺はずっと向き合っていない事実を今質問されている。 「・・好きじゃない相手と、あんなずっといるかよ。」 「わかってるだろ、正巳。俺とキスしたりSEXしたいたぐいの好きかって話だ。」 目を閉じる。気がついてはいけないような何かが自分の中に生まれているかもしれない。 そんな気がすることもあった・・・それは確かだ。 でもそれはそのままにしておいた。変化するなら任せようと思った。 「わ・・・からない」 「・・・・ダメだとわかっていたのに、万が一に賭けたのはそこだよ。 もしかしたらという可能性がぬぐえなかったんだ。」 「どういうことだよ・・・」 「男とキスしたりSEXしたいか聞かれて、速攻無理っていうのがふつうだよ。 わからないってことは、ほぼ肯定に近いだろ、実際。」 自分の顔に血が集まるのがわかる。どんな顔をしているのかわからないが、赤面しているのは確実だ ・・・そうだったのか?俺は、そういうことだったのか? 「・・・わからない・・・よ・・・。三田・・」 「俺が思う僅かな可能性ぐらいまでは正巳の心もあったのかもしれない。 でもな・・・お前はボーダーを超える気がなかった。俺はそれ以上を望んだ。・・・そして相容れなかった。 それだけのことだ、お前が悩むことじゃないし苦しむことじゃない。 友達に惚れられるなんてさ、思ってもみなかっただろ? それを正巳に経験させちゃった・・・俺の一生の後悔だな。」 「後悔・・・してるのか。」 俺の存在は後悔の証か?三田、そうなのか?

ともだちにシェアしよう!