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雨の先・・・そして 16
「僕の考え方を言うね。末次さんの疑問がそこで解消されるかどうかわからないけど。
僕は静香さんと仲良しだ。ちゃんとするっていって、敦は僕の前から1年も姿を消して音信不通になってね。」
「え?」
「え?でしょ?」
カラカラと笑われて、なんでそんな行動をとったのかわからない俺は三田を見る。
そこには気まずそうなくせに、どこか満足気な顔があって少し呆れた。
「そのときからずっと静香さんとは仲良しで、月に2~3回は僕の家に泊まって朝までお酒をのみながら色々な話をしてね、それは今もずっと続いてるんだ。」
ゲイ相手だと安心なんだろうな・・・浮かんだ言葉があまりに下世話で自分に嫌気がさす。
俺は顔でもしかめたか?向かいの顔が少し意地悪そうに見えるのは気のせいか?
「もし静香さんが僕を好きだって言っても・・・」
「おい!ちょい郁。静香そんなこと言ったのか!」
「敦。今は黙ってて。それに僕は「もし」って最初に言ったよ。」
三田は言われたとおりに黙った・・・頭があがらないらしい。
「話を戻すね、もし好きだと言われても僕は受け入れられない。」
「・・・ええとそれは沢田さんが男とつきあってるからだよね。」
「いや、違うよ。」
違う?え?だって三田とつきあってるから女に興味なってことだろ?
「人を好きになるのに僕は性別よりも人間ありきだという考えなんだ。
だから・・・まあ、今まで同性とのかかわりが多いのかもしれないけれど。
僕にとっては静香さんが女性だろうが男性だろうが恋愛の対象にはならないんだ。
友達としては最高だけどね。」
それって・・俺が三田に思っていたことだけど。・・・でも
「でも・・・男と女だったら、普通恋愛に発展するかもしれないし。」
「普通ね・・・。」
しまった・・・。普通じゃないって言ったも同然だ。
「末次さん、好きな俳優は?」
何をいきなり・・・・。でも何か言ったほうがいいんだろうな。
「昔のデニーロ・・・かな。」
「素敵だよね。そのデニーロが「そばにいてくれないか?・・・」って、少し悲しそうに口のはじっこだけで微笑んだらどうする?そうだね、「恋におちて」の時ぐらいの感じで。」
「・・ちょっと、それはいきなり予想外の・・考えたこともない・・けど。」
「僕もね、あの笑顔が大好きなんだよ。頬に手を伸ばしたくなる。」
少し視線を落として照れくさそうに言う顔を俺はぼんやり眺めてしまった。
この人は人を吸い込む力がある。魅せられる何かを持っている。
「末次さん、15歳の近所の女の子に好きだって言われたらどうする?」
「へ?」
何を言い出すんだ?
「じゃあ、自分より30歳上の女性に好きっていわれたら?上司の奥さんに好きって言われたら?
友達の彼女に好きっていわれたら?友達として付き合っていきたい女性に好きって言われたら?」
「・・・全部無理ですよ。そんな恋愛の対象じゃないし。」
「どうして?」
「どうしてって・・・だって向こうがそうでも俺がその気がないわけだし。
条件的にきついよ、そんなロリコンみたいのやら熟女好きみたいのまで・・・俺そんな趣味ないし。しょうがないですよ、こっちにその気がないんだから。」
「敦はそれが言いたかったんだと思うよ?」
えっ・・・。
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