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雨の先・・・そして 19

「ちょっと!今日は少し遠出するとか言ってなかった?」 「うるさい山田。黙れ。焼酎がこんなにキツイって知らんかったぞ・・・。本格焼酎ってやつはパワーがあるのか?たのむからデカい声だすな。」 山田からの電話がしつこく鳴るので、なんとかロビーまでおりてきた。 俺も佐伯も二日酔いで、このくそ暑い外にでる元気はない。 気分はスッキリしていたが体はついていっていない状態だが、佐伯はかなりのダメージをくらっている様子で、笑いごとじゃないけれどおかしかった。 「俺一人で夜までなにすれってんだよ・・・」 ふてくされる山田をみて申し訳ない気持ちもあるが、大の大人なんだから正直一人でどっかに行け!な気分だ。俺は携帯を山田に放った。 「うわ!いきなり投げるなよ!」 「そこに三田の番号あるから。あいつも二日酔いだろうけど、お前のすきそうなうまいもんが食える場所くらい教えてくれるだろ。電話してみれば?」 「え?三田?え?末次?」 え?っていわれてもな、山田。 ソファの隣に転がっていた佐伯の腫れぼったい目が俺に向けられる。 「へえ~」 二日酔いでよかった。細かいことにまで頭が回らないので二人の反応もどうでもいい。 「俺部屋にもどりたいから、さっさと電話して返してくんない?かけないならもう返せ、山田。」 「いや。いや、かけるよ!ちょっと待ってて。」 山田は電話をいじって三田の番号にたどりついたらしくロビーの隅に移動した。 俺はグズグズとソファの背をすべり天井に目を向ける。ああ・・・眠りたい。 「なんだよ、結局三田がなんとかしてくれたのか?」 いいや、三田は俺を納得させてくれなかったよ。 「三田は相変わらずだ。沢田さんが俺を救ってくれたよ。」 「・・・詳しく聞きたいけど、今聞いてもたぶん俺忘れる・・・」 佐伯はいつでも佐伯で・・・その存在がありがたかった。佐伯の肩をポンポン叩く。 「お前が背中押してくれたからさ。ありがとな。」 佐伯は俺の顔を見て、不貞腐れたように目をそらした。 「俺はな、笑顔のかわいい正巳ちゃんがブータレ正巳ちゃんよりいいってだけだ。」 「大丈夫だろうな、たぶんちゃんと笑えるようになってると思う・・・。」 「そうか。」 「うん。」 「じゃあ、笑っておけ。さっき恰好つけて携帯を山田に投げつけてたけどさ。そもそも三田に連絡とったのあいつだぜ?それに俺だって三田の番号くらい知ってるよ、あいつが変えてないってだけでな。」 「・・・。」 「勢いで消去したのはお前だけって話だ。笑えるだろ?笑えよ。」 「くそ・・・」 たしかに・・・。俺だけが時間を止めてそこから前に進めていなかった。 俺は、また・・・三田と普通に電話ができるようになるのだろうか。 たぶん、もう三田は「ごめん」と俺に言わないだろうし、俺も雨の日に目が覚めることもないだろう。 佐伯の手が膝に置いた俺の握りこぶしを叩く。 トントン トントン 「よかったじゃないか。ほんと。」 俺は刻まれる心地よいリズムを感じながら、此処に来たことを素直に喜んだ。 「少し時間がかかりすぎたけどな。」 「・・・だな。」

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