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椿の花が落ちる頃 七
「椿、こんばんは」
弥三郎は約束通り毎晩通ってきた。
「本当に毎晩飽きもせず通ってるな」
「まぁ、約束だしね。欲しいものを手に入れるとき、こういう手間は惜しまない性格だから」
飽き性でもないしね、と弥三郎はにっこりと笑う。
本当にこいつは得体が知れない。
あの日から俺はこいつに抱かれ続けている。
そして、分かってきたこいつの性癖。
「今日はね、縄を持ってきた。柔らかいから、そんなに跡は残らないと思うけど」
「また…縛るの…?」
「嫌?」
「嫌っていうか…」
色んな性癖の奴がいるけど、縛ってくるのは初めてで、初めは身動きとれなくて苦しかったけど、今は縛られることに快感を覚えてしまった。
弥三郎はそれに気づいているのか分からないが、色んな紐やら縄やらを調達しては、縛ってくる。
そして、しばらくその姿を見て、体を撫でたり、口づけしたり…思い出したら、体が熱くなってきた。
「顔、赤いね。思い出した?」
「ち、違う!」
俺は顔を赤くして否定したが、弥三郎は全く信じていない様子だった。
「椿、着物を脱いで」
縄を弄びながら、俺に命令する姿は威圧的だけど、安心感がある。
矛盾しているような気がするけど…。
俺はこの人に「支配」されているんだと思うと、今まで感じていた心の隙間がぴったりと埋まるような気がした。
いや、その隙間さえも大きなものに覆われてるような気がする。
俺は帯をといて、両肩を出す。
そのまま両腕を下にだらりと伸ばし、着ていた着物をすとんと落とした。
「後ろを向いて、腕も後ろに」
後ろを向き、腕も後ろに回す。
長い縄を二つに折り、結び目を作っていき、体に縄を掛けられていく。
亀甲縛り…というものだろうか。
亀の甲羅の模様が肌の上にできていく。
股に縄を通されて、きゅっと縄が食い込む。
「…っ!弥三郎様…あの、ここが…」
俺は股間のところに視線を落とし、俺のモノが縄で横を向いてしまっており、なんだか気持ちが悪いことを訴えようとした。
「ん?どうした?」
弥三郎はそのままお尻の間にもきゅっと縄を締め上げる。そのため、また股間のところがきつくなる。
「お…俺のが…その挟まって…気持ち悪くて…」
「ん?あぁ…椿の大事なところが挟まって辛そうだね…今直してあげようね」
股の縄を指でぐっと引っ張り、俺のモノをまっすぐに向かせる。
同時に尻に挟まった縄も食い込み、孔にも擦れて、俺はつい「はぁ…っ」と吐息混じりに
縄が俺の体の上で、亀甲模様となり、皮膚が少し縄に食い込んでいるのが、淫靡でいやらしく感じる。
そう感じてしまうと、いっそう体が熱くなり、俺のものは天を向いてしまう。
(触ってほしい…)
無心で縄で俺を縛り続ける弥三郎と、人形のように縛られる俺。
俺はアソコが主張し始め、触ってほしくて堪らなくなった。
「…できた」
弥三郎は俺の後ろでぎゅっと縄を締めると、そのまま俺を自分の方に向かせた。
弥三郎はうっとりしたような目をしながら、俺の体を見つめる。
「椿、やっぱり君は美しいな」
「………美しいなんて言うの、あんたぐらいだよ」
「そうなの?皆見る目ないんだね」
弥三郎は俺を布団に寝かせた。
「……今日はなんだか、すぐにしたくなってきた」
弥三郎は俺の耳元で囁いた。
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