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椿の花が落ちる頃 十二

雪が降っていた。 俺はいつもの部屋に向かっていた。 弥三郎と逢瀬を重ねた部屋。 そこへ向かう途中、人影が見えた。 長身のざんばら髪。 「弥三郎様……っ!」 俺は呼び掛けると、人影はピタリととまり、俺の方を振り返った。 「椿」 弥三郎はいつもより早足で、俺に近づき抱き締めた。 痛いぐらいに。 そのまま、俺は抱き上げられ、誰も使っていない部屋に連れていかれた。 明かりもつけず、布団の上に転がされると、着物をあっという間に脱がされる。 弥三郎も自分の着物を脱ぎ捨てて、雪明かりが弥三郎の逞しい体を照らしていた。 「弥三郎様……?」 いつもより性急な態度に、俺は戸惑った。 いつもは余裕たっぷりの顔で、俺を苛めてくるくせに、今日は全く余裕がないように感じた。 だってさっきから、全然笑わない。 弥三郎は、俺の首に顔を埋めて、舐めたり、甘噛みする。 「……んぅっ、弥、三郎さまぁ……っ!今日はどうしたの……っあぁ!」 胸の突起を吸い上げるのと同時に、俺の一物を大きな手で擦りあげる。 痺れるような快感に声を押さえられない。 一物を擦る速さがどんどん早くなっていく。 「あ……っ、ダメぇ……!弥三郎さまっ、……イクっ、イっちゃうからぁ……!!」 弥三郎は相変わらず、何も言わず、ただひたすら俺の体を貪っている。 俺の胸をきつく吸い上げた。 「ひぅ……っ!」 俺は弥三郎の手の中で果てた。 はぁはぁ……と息を整えながらぼんやりしていると、俺の腹の上の精液を指で取り、俺の尻のすぼまりをほぐすように精液のついた指を突っ込んだ。 「あぁ……っ!」 俺は甘く掠れた声をあげる。 弥三郎の指は別の生き物のように、俺の中をぐちゅぐちゅと音をたてながら、奥へと進む。 「や……っ、あぁ……こすっ、ちゃ……んんぅ!」 弥三郎は何も言わない。 ただ貪るように、俺の体を()んでいく。 首筋を噛んだり、乳首を吸い上げたり……とにかく、食べるように犯される。 ひとしきり、愛撫を止めると、足を持ち上げられ、お尻の孔が丸見えになるように弥三郎は俺の足を抱える。 そのまま怒張し、熱く滾った一物をズブッと俺の中に納めた。 「ぅあ……っ!」 俺は一層高い声をあげて、のけ反った。 中を圧迫される感覚。 堪らなく、愛しい。 「弥三郎、様ぁ……っ、あ……!奥まで……入ってる……」 一度、ぐっと奥までいれると、今度はゆっくり動き始めた。 初めはゆっくりだった律動が、だんだんと早くなる。 「……っは……あ……っ……あぁ……ん……っ」 律動に合わせて、息が弾む。 解されたおかげで痛さもなく、ただひたすら快感だけが波のように押し寄せる。 「弥、三郎……様……、も……ぉ、あっ、イク……イっちゃうよぉ……!」 突き上げる快感に合わせて、頭の芯が痺れてくる。 真っ白になりそう。 「……っ、椿」 やっと言葉を発した。 名前を呼んでくれた。 どうして、そんなに苦しそうな顔してるの? どうして、そんなに泣きそうな顔してるの? 俺は聞きたかったけど、それどころじゃなくて、突き上げる快感に身を任せるしかできなくて……。 「………っあぁぁ!!」 飲み込まれていく。 真っ白な波に。 注がれる熱がじんわりと広がっていく。 「椿……」 ぼんやりとだらしなく開いた口を、深く深く口づけされる。 これは、恋人にする口づけ。 真っ白に霞む頭で、ぼんやりとそう思った。

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