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第5話
男達の気配が完全になくなると、住居スペースである2階から人の下りてくる気配に吉良は階段を覗いた。
「あの、すみません。俺の所為で……」
神妙な面持ちで謝る黒ずくめの男を追い払うように手を振った。
「上行ってろ」
「でも……」
「歓楽街で店やってれば、チンピラなんか周期的にやって来るもんだ。気にする程の事じゃねぇよ」
「けど……」
「けどもクソもねぇんだよ。あいつら見張りたてて監視しているだろうから、迷惑かけたくなければ大人しく上に居ろ」
男が階段を上るのを見送ると、吉良はズボンのポケットから携帯電話を取り出した。
「よぉ、原木 。今晩、飲みに来いよ」
電話の相手は突然の誘いに難色を示したが。
「奢ってやるからさ」
その一言に渋々了承した。
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