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第7話

 原木を一時カウンターに立たせ、吉良は2階の自宅へ駆けあがった。 「おい。若造」  呼ばれて、布団に横たわっていた男は慌てて起き上がった。 「もう少ししたら俺の友達(ダチ)が表のチンピラを退かす。その隙にそこの窓から隣へ移れ」 「え?」 「隣に移ったら、メルメルっておかまが待っているから、そいつの指示に従って更に隣に移れ。いいな」 「あの、傷……」 「傷が痛むかもしれねぇが、あいつら明日乗り込んで来る可能性があるからな。今日中に逃げとけ」 「違くて、傷の手当のお礼とかしてないから」  黒目がちな真っ直ぐな瞳で真剣に言われ、吉良は笑った。 「そんなもん気にしなくていい。それよりここを出たら暫くは遠くに住む親せきの家にでも転がり込んでおけよ」  行くあてがあるのか男は「分かった」と返事をする。 「チンピラを退けたら店の電話からこの携帯にかけ、5コールで切る。それを合図に出ろ」  男は頷き吉良に渡された携帯電話をテーブルに置いた。 「それじゃあ、店に戻るわ」 「待ってくれ!」 「ああ?」 「名前……」 「言う気もねぇし、聞く気もねぇ。これ以上面倒事に係るのはごめんだからな」  吉良にそう突き放され、男は静かに頷いた。

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