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1.邂逅したのは地獄だった-3

 三日後、再びの新宿。  土砂降りだったあの日とは打って変わって、埃っぽい空気が蔓延していた。地下鉄から地上にあがると、夏らしい陽射しが降り注いでいる。久しぶりの快晴だったが、平日ということも手伝ってそれほど人出はない。百貨店に寄り、夏の新作だという菓子折りを手土産に購入した。領収書はきちんと貰っておく。  スカイブルーの紙袋を提げ、いつもと違ってネクタイまできちんと締めた姿が自動扉に写っている。まさにサラリーマン。似合わない。明るい髪の色も手伝って、どちらかというと水商売の店長だ。新規開店するのでご挨拶に参りました、といっても信じてもらえそうである。嬉しくはない。  ビルとビルの合間に突然現れた巨大なコンクリートの箱は、大きさに対して存在感が無い。奥行きもかなりあるはずだが、周りに先ほどの百貨店などがあったり、雑居ビルが乱立していたりと綺麗に目立たくなっていた。隠したつもりはなかったはずだが、結果的にひっそりとしてしまっている。  思ってた以上に大きかった教会の前で、上永谷神父と同じような格好をした老年の男性が掃き掃除をしている。建物の規模に対してこじんまりとしたその光景は少しアンバランスだった。しかし通り過ぎる人は気に留めず、日常を思わせる。ハロウィンなんかのコスプレ衣装とは違う、上質な黒はこの夏のかすかな熱をよく吸収しそうだ。 「失礼、こちらの方ですよね」  黙々と箒を動かしていた名も知らぬ神父に声をかけると、怪しげなものをみる目を向けられる。箒を握ったまま、俺の頭から爪先までを眺めた後、小さな声で「そうですが」と言った。ものすごく怪しまれている。 「俺、いや、私は二条フローリストで専務をしております。二条皐月と申します」 とりあえずにこやかな顔を繕って、名刺を差し出した。道端で何をやっているんだか。 「ああ、花屋さんのところの……。これはどうも、きいております。すみません、信徒には見ない顔だったものですから」  こちらへどうぞ、と箒を持ったまま自動扉の内側へ招かれる。その老年の神父は斎藤と名乗った。斎藤神父は事務所のような部屋を抜け、応接間に入るまで箒を離さなかった。俺を応接セットのソファに案内したとき、なぜか自分が箒を持っていることに驚き部屋の片隅に立てかけていた。そんなに警戒しなくてもよろしいのでは。  俺は腰を下ろす前に、買ってきた手土産を両手の空いた斎藤神父に渡す。ツマラナイモノデスガ、とまったく心のこもらない言葉を付け足す。スカイブルーとともに、少々お待ちください、と斎藤神父は部屋を出ていった。  落ち着いた西洋風の部屋だったが、アンティークを模した家具はあまり古くない。ここ数年で買い揃えたものだろう。深い赤色の絨毯に至っては、新品のようであった。壁際には小さな祭壇が作られており、十字とそれに架けられた男が一人。同じ側の壁に宗教画が二枚。写真立ての多い部屋だ。  紅茶を持って戻ってきた斎藤神父は、思いもよらぬ、いや予想はできた人物を従えていた。 「二条さん」 「は」 「お知り合いですか?」  予想は出来ていたが驚いてしまった。上永谷神父がにこやかな顔で立っていた。斎藤神父がもっと驚いた顔で俺と彼の顔を見比べる。知り合いだから、と連れてきたわけではないのか。たまたま、というか若いしお茶汲み係なのだろうか。でもトレーを持っているのは斎藤神父だった。役割分担……? 「先日東口のフラワースタンドで」  上永谷神父が楽しそうに笑っている。案外感情豊かである。 「ああ、あのゲリラ豪雨の」  ローテーブルに三脚のカップとソーサー。揃いのミルクジャグとティーポットもそっと置かれた。見間違えか偽物じゃなければ、ウェッジウッドのカタログに載っていたのを見たことがある。えらくバブルを感じる教会である。小皿に乗った茶菓子は、硬そうなビスケットだったが。 「上永谷神父が向日葵を買いに行くと駄々をこねられた日だ」 「駄々はこねていませんよ」  斎藤神父が笑いながら向かいのソファに腰を下ろし、その隣に上永谷神父も腰を下ろした。この二人が並ぶと、おじいちゃんと孫、といった風情がある。ふたりとも温厚そうで、穏やかな顔をしている。道徳の教科書に載っていそうだった。遅くなりましたが、と斎藤神父が名刺をくれる。何の変哲もない。ただし、肩書は司祭長であった。上永谷神父が伴じたのは、ただ上司にたまたま行き会ったからかもしれない。  今日の訪問は事前に会社を通して伝えており、突然の来訪というわけではない。雑談を交わしながら紅茶を飲み干す頃合いになると、斎藤神父は見計らったように立ち上がり「では参りましょうか」と言った。礼拝堂を見学させてもらうのだ。ミサのない午後、花を納品したのはちょうど昨日なのでまだ盛りだろう。白百合の品種を幾つか、霞草、それからいくつかのグリーン。一年のうちほとんどはこの組み合わせである。薔薇の日もあるが、哀しき弱点だが白薔薇を大量に納品するのが難しく、大抵他の色とのミックスになる。その他は季節や、教義上の理由との兼ね合いで様々な種類のものが納品されている。  先ほど入ってきた入り口の正面にあった大きな木製の観音扉、これが礼拝堂のメインエントランスだという。重たいうち開きの扉を押し開くと、都内とは思えない空間が広がっていた。天井が高い。真正面に現れた三枚のステンドグラスは午後の光をかすかに拾って色を落としていた。このステンドグラスも現在は建物内にすっかりはいってしまっており、建物内からは見ることができないが、裏手の壁が採光のため一部ガラス張りになっているらしい。みたところ室内はほとんど左右対称であった。斎藤神父の説明によればここは三廊式バシリカ教会堂という建築様式で、ステンドグラスのある突き当りの壁面の両端にアプスという半円形のスペースが二つ作られている。側廊部分だけ二階層になっていて、今はこの礼拝堂から二階に昇ることはできなくなっているということだ。ごくごくシンプルな作りの木造建築であるが、印象として、とても広い。このビル、というか教会の建物自体は外から見る限り三、四階建て程度の高さだったが、おそらくそれをすべてぶち抜いているのだろう。なんというか、保護するにしたって強引過ぎるような気がしないでもない。ステンドグラスの掲げられた半円の空間の少し手前にステージのような場所があり、花の気配がした。大小の教卓のようなものが配され、そこが祭壇なのだと推測できる。身廊の中心を空け、左右にズラリとベンチが並び祭壇の手前まで続いている。教区のなかではそこそこの大きさの礼拝堂で、収容人数でいえば二五〇人程度だそうだ。 「新宿にこの教会が出来たのはもう昭和もはじめのころですんで、あちこち傷んでしまっててねえ」  それでもベンチも柱も、少し遠い祭壇も柔らかく艶めいていて、手入れが行き届いてることがよくわかる。ステンドグラス以外は木の深いブラウンと、絨毯の少しの赤、それから壁の白だけでシンプルだ。宗教画が何点か壁にかかっている。ヨーロッパやイギリスでみた教会と言うものに比べて、素朴なものだ。ステンドグラスこそが、この教会の至宝なのだろう。  俺の前に斎藤神父、俺のすぐ後ろに上永谷神父が控える形で一列に並んで堂内を歩く。絨毯のせいで靴音がしないため、ものすごく静かだった。 「そういえば、あの、こちらってパイプオルガンがありますよね?」  先日ホームページをみたときに、パイプオルガンの写真があった気がする。礼拝堂正面にはその気配はなく、ふと不思議に思ってしまった。 「ああ、それでしたら」  後ろを歩いていた上永谷神父が足を止めた。それに倣って足を止め、振り返る。  振り返った先には二階、というべきか中二階というのか、バルコニーのように作られた空間があり、そこにそれはあった。今しがた、俺はパイプオルガンの下をくぐってきたということか。左右に扉が見え、どうやら別のルートを使ってそこに昇るようだ。確かにさっき、ここから二階には行けないと言っていた。  気を取り直し、祭壇にたどり着けば生花の独特の香りが鼻についた。火の消えている溶けた蝋燭が燭台に並んでいる。近づいて気づいたが、向かって左手の演説台のようなものにはマイクが置いてあり、教会内もよくみればスピーカーが吊られていた。なにせ知識がないのでそれが当たり前なのか、ここが特殊なのかわからない。察したのか、上永谷神父がそっと「海外でもよくあります」と言った。  花は綺麗に咲いており、左右に広がるようなアレンジメントはよく整っていた。花に関しての審美眼はてんでないので、これが美しい意匠なのか否かはまったく判断できなかったが、この礼拝堂の雰囲気によくあっている。花越しにみるステンドグラスは確かに美しいものであるし、午後の陽光だけで照明の落とされたこの空間でも、白がよく映えた。 「白の花というと、どうしても葬儀のイメージになってしまうのですが」  斎藤神父が祭壇の照明をつけながら話す。 「この季節はどうしても白百合をお願いしてしまうんですよね」  電球色のLEDライトに祭壇の周りだけがぱっと明るくなる。 「そういえば、そういう理由がお有りになる割に、白以外はあまり頼まれないですよね」  葬儀を連想させると言う割に、いつでも白の花ばかりである。春先にすこしグリーンが増える時期があることと、冬にはシクラメンが混ざること。今までの納品記録を見る限り、その程度の変化が、数年単位で繰り返されていた。 「こんなことを言うのはお恥ずかしいのですが、花に詳しいわけではありませんしほとんどおまかせ、といいますか」 「なるほど、確かにこちらとしても宗教上のことはよくわかりませんからね。白い百合といわれたら、その先の提案はむずかしいかもしれません」  思いの外、職務上意義のある訪問になりそうで少しの安心感を得る。 「もしよろしければ、新しく違う種類の花を入れることも考えてみませんか。季節ごと、NGさえお伝えいただければもう少し発展したご提案ができるかと」 「ああ、それはいいお話です。今、館内の装飾は上永谷神父におまかせしてますから、そのあたりも彼からお聞きいただければ」  斎藤神父が嬉しそうに笑ってくれたので、少しだけ表情筋が緩んだ。こんなに和気藹々とした空気は久しぶりである。しかも担当がこの上永谷神父である。願ってもない好機である。なんのチャンスかってとこは、アレだが、まあ好機は好機だ。満ち足りた気持ちで握手まで交わし、そこでふと、そもそも上永谷神父が伴じた理由が「装飾の担当」だったからということに気付いた。お茶汲み係でも上司に付き合ったわけでもなかった。 「祭壇のお花まで私が決めてよろしいのですか?」  上永谷神父が不安そうに斎藤神父にきいていたが、老年の神父は孫をみるような優しい顔で頼んだよ、とだけ答えていた。 「よろしければ教会内の他の場所も見学していってください。小聖堂もございますし」  斎藤神父は、そういって上永谷神父に案内を任せ「もう一件、来客がありまして」と申し訳なさそうに場を辞した。重たい扉が閉まる音が少し離れたところで響き、その音の反響でここが聖堂であることを再確認する。  俺はぼうっとステンドグラスを見上げ、何を意味するのかまったくわからないその図像に首を傾げるばかりであった。わかる人には、定番なのかもしれない。 「二条さん、この間の向日葵、まだ綺麗に咲いてますよ」  祭壇周りのコードを几帳面に端に寄せ、斎藤神父がつけた照明を一つ一つ消して歩きながら上永谷神父が言った。また昼下がりの薄い光だけが堂内を照らしている。  二条神父はあの人変わらず、人形のように整った顔で笑っている。今日はジャケットは羽織っておらず、名も知らぬ長衣を身に着けていた。あの百合のように白い肌をした両手が、首をもたげた花をそっと直す姿はあまりに絵画的で、同じ人間であることを忘れそうになる。彼は同じ人間であり、同じ男で、同じ国の住人であることを時々思い出さねばならない。初恋の熱に浮かされた思春期の少年のように、彼に関して盲目的な賛辞ばかりが溢れてしまい、どこをみても美しい、美しい、美しい、としかいえなくなってしまう。いい歳をして何を考えているんだろうかと、我に返るとかすかな虚無感にため息を漏らす。  ほんの小さなそのため息に、上永谷神父がそっとこちらを振り向いた。あの嫣然とした、何かを見透かすように、右目がちょっとだけ眇められた微笑みを浮かべている。このひとのこの微笑みの前で、俺はいつもどおりに振る舞うことがひどく困難で、蛇に睨まれた蛙のごとく硬直してしまう。それを必死に誤魔化そうと口をあけても、特に言葉はでてこずに間抜け面で口をぱくつかせるだけで終わる。それがどうしようもなく恥ずかしくおもい、咳払いだけをして、もにゃもにゃと曖昧なことをいって笑った。  その不思議な微笑みは次の瞬間にはすっかり消え失せて、にこにことした顔で笑う彼が「そういえばお花、苦手なんでしたっけ」と言う。まるで金縛りがとけたように緊張が失せて、首筋に伝う汗に夏を思ったりして、そうなんですと笑ってみせた。全部バレているようでそれが少し居心地が悪かったが、その座りの悪さみたいなものにも気づかないふりをした。  二階へご案内しますよ、と上永谷神父が言って歩きだしたのでそれに素直に従った。入ってきた大きな扉ではなく、右手の隅にあった極普通のドアから礼拝堂の外へでた。すでに陽光の届かない廊下は、俺達が足を踏み入れた瞬間光に満たされた。センサー式の照明である。廊下の両側に数部屋あるようだったが、特に興味はなかった。ほんの少しの廊下の突き当りは扉が一枚だけで、そこを開けた先には何やら道具や本が棚に並べられた不思議な部屋があった。香部屋です、と上永谷神父が簡単な説明を添えてくれる。ミサの前の準備をする場所ですよ、と言っていた。大きなテーブルが部屋の中央を陣取っている。彼は少し待ってくださいね、といってテーブルの上に積まれていた数冊の本を片付ける。  向日葵はそこにあった。窓際、大きな白い花器に、大輪の向日葵が幾つか。三日も経てば首が折れるかとも思ったが元気そうである。少しだけ褪せた黄色も、まだ少し保つだろう。なんとなく癪な気持ちになって、テーブルの向こうのその花器へ近づいた。花びらを軽く弾いてみる。もちろん、向日葵は何も変わらない。それはそうだ。 「まだ、迷っておられる?」  背後からの声に、驚き思わずはっと息を呑んだ。今、俺は花に対して何を考えていたのか。  あの日も彼は、俺に「迷っているか」と問うた。美しい声で、俺に問うたのは何の迷いだったのか。外界の気配を完全に遮断したこの部屋で、俺は得体の知れないものに背後をとられて絶体絶命の男である。迷ってなどいない。いつだって自分のやりたいように生きてきた。何を迷っているのか? あの日俺は何を迷っていただろうか。 「あなたには向日葵より、百合が似合いますよ」  その言葉と共に、背中に感じる確かな人の重み。棒立ちのままの俺の背後から、すっと伸ばされた右腕が向日葵の花弁を艶やかになぞった。それから、栄光にも選ばれた一枚の花弁は、ぶち、と千切られた。ハラハラとおちていく花弁を、思わず目で追えば、花びらをちぎったその腕は、手は俺の喉笛を同じようになぞった。思わず、喉が鳴る。上下した喉仏を、俺の汗でぬめる指先がなでた。  カッとなったと言わざるを得ないのだが、その瞬間、沸騰した本能が理性を一撃で殺した。向日葵のことなんて一瞬で忘れて、背に感じる男の気配を逃がさないため強引に振り向いた。冷ややかで伏し目がちの両の目の目尻はかすかに赤く血走っていて、薄い唇は柔らかな弧を描いていた。楽しそうに歪んだその顔は、道徳の教科書にはとても載せられない妖しさに満ちている。乱暴に腕を掴んだ俺の顔を見て、さらに笑みを深くする。まるで別人のような彼に対する戸惑いも恐れも、おかしくなってしまったような思考回路からは閉め出されてしまっていた。テーブルに上半身を押し倒すと、これ以上何をするというのか、と息を吹き返したかすかな理性が動きを止めた。熱を発散するように長く息を吐いた。押さえ込んだ腕は離すことができず、彼の顔の横についた左手はかすかに震えていた。 「わたしに触れることを、迷っていらしたでしょう」  その体勢のまま、喉元を晒した彼が言った。床から浮いた彼の足先が、俺の内脛をかすっていく。なにも答えられない俺は、ただじっと、上永谷神父の顔をみつめ、まるで先に目をそらしたほうがとって食われるような気持ちになっていた。狩りの獲物、である。この場合、俺が。  自由になる左手で、彼は俺の目元をそっと拭った。 「どうぞ泣かないで、あなたは救われますから」  一瞬なにを言われているのかわからず、心拍数の上がった身体は一気に覚めていく。慈愛に満ちた美しい男の顔が俺を見ていた。俺は自分がいつからか涙を流していることに気付いていなかった。こんなことは今までただの一度もなく、迷子のような心もとない気分になり、思わず彼の右腕を押さえる左手の力を強めてしまった。刹那の安堵と、波のように押し寄せる戸惑い、この場を支配しているのは押し倒されているはずの彼だった。 「生きることはつらいでしょう、でも、大丈夫ですよ」  あなたは救われますから、二回目のその言葉に今度は堪え難い羞恥を感じ、耳の先が熱くなるのを感じた。とっさに押さえていた腕を離し、後ずさる。ゴン、と花器が窓に当たる音がした。ゆっくりと起き上がった彼は、俺に絡みつくように抱きついて、はあ、と悩ましげにため息を吐いた。小さな子供にするように、そっと俺の背中を撫でる。混乱のまま、ちょうど顎の下にみえる彼のつむじと、涙で霞んだ視界に息が苦しくなる。思わず彼の背に手を這わせようとした。その瞬間だった。  目を覚ませ、とでも言うように、強く扉をノックする音が響いた。三回繰り返されたノックの後、俺たちどちらの返事も待たずにドアがあいた。あまりうまい状況ではない。思わず両手をホールドアップして、突然の闖入者に無罪を主張する。 「なんです!」  失礼しますよりも先に、俺の顔をみて怒りに声を上げたのは、先日の騎士の青年だった。今日も短い黒髪がぴょこぴょことはねていた。上永谷神父はいつの間にか居住まいを正し、襟元を直している。 「ここがどういう場所なのか弁えておいでですか!」 「よしみちくん」  上永谷神父の、窘めるような声音に、彼のみならず俺まで思わず息を詰める。失礼しました、とよしみちと呼ばれる青年は落ち着いたようにみえた。だがすぐに俺のことを親の敵のような顔でみるので、思わず目をそらした。この場を支配しているのは、やはり彼なのである。 続

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