6 / 7
きずあと
色葉×光
光さんの身体中に切り傷がある。自傷して残ったもの。
それを見て光さんは悲しい顔をするものだから、俺は心の片隅で、切っても痕が残らず完治してくれたらなーなんて思ってる。
そうしたらね、自傷することに対して後ろめたさ?みたいなものが減るだろうし。
「そんな悲しい顔しなくていいのに」
そう言って、腕にある傷にキスをしていく。
「ごめん…汚いから…」
「汚くないから、大丈夫。気にしないのー」
俺が気にしない、何も考えていない性格だって知ってるはずだから、気にしなくてもいいのに。気にする性格だったら即病院連れて行くって。
「俺は光さんが生きてくれてたらいいよ」
死にたくて切っているわけではないのは知っているから。切らないとやってられない時があるっていうのは知ってるから。
…………切らないように頑張っているのも知っているから、どうか無理をしないで欲しい。
結局光さんが眠りにつくまで、ずっと傷にキスをしていた。キスに夢中になって、眠っていたことに気付かなかったのは内緒。
キスしたところを蒸しタオルで優しく拭いた後、傷を消してくれるかもしれないクリームを塗る。
もし効いてくれないものでも(パッケージには効くって書いてあったけど)、プラセボ効果で効くかもしれないから俺は塗り続けている。
「ちゃんと効いてね〜。ひかさんの細胞と薬、頑張って」
俺は今日もそう願う。
ともだちにシェアしよう!