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赤いヒールと自信 01
杜萌×雫
二人でデパートなどが多くある通りに来た。
周りから見ると俺たちは男女カップルのようだが、隣で俺と手を繋いでいる雫は男だ。
しかしそれは身体のことで心は女だから、男女カップルと言われればそうなのかもしれないが…。
まあ、どちらにせよ俺の可愛い恋人には変わりないからな。
そんな雫の視線がさっきから同じところに向いていることに気が付いた。
どうやら信号待ちをしている横断歩道の先にあるデパートの赤いヒールの広告を見つめているようだ。
「あのヒールが気になる?」
雫の気になっているものを俺が知らんぷりすることはしない。
だから顔を覗き込んで聞いてみると「へ?!」と驚かれた。
「ど、どうして……?」
「さっきからあの広告見つめてるだろ?話しかけても空返事だったし。そんなに気になるんなら行くぞ」
信号が青になり、高さのないサンダル…パンプス?を履いている雫を引っ張って歩き出した。
その広告の赤いヒールがあるのは女性のブランド服の店だった。
足が竦みかけている雫に「お前は可愛い女だから安心しろ」と効果のあるようなないような言葉を掛け、一緒に入る。
「いらっしゃいませ〜」
「すみません、建物の表の方の広告の赤いヒールってありますか?サイズは……なんだ?」
「……26です」
「調べて参りますので少々お待ちください」
「お願いします」
店員が調べに行ったところで雫の方を見ると、顔を伏せていた。
多分足の大きさが気になるのだろうな。
女の気持ちは難しい。
「足のサイズ知っても可愛くないとか思わないから」
「……私なんかがあんな可愛いヒールが似合うわけないよ……」
「雫には似合うって」
そんなに身長もあるわけではないし、化粧しなくても可愛いしな。
でも、と雫が言い訳をしようとしたら店員が戻って来た。
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