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赤いヒールと自信 02
「お待たせ致しました。26cmのものがありました。こちらですね。ご試着されますか?」
「はい」
店員に椅子と鏡があるところに案内され、雫に履かせてみる。
「どう……かな?」
雫は落ち着いた色の服が多いから、このヒールがアクセントになっていて合うと思うし、贔屓目で見なくても雫には何でも似合うと思う。
「似合う。今の服装にも合ってるしな」
「本当……?」
「本当。履き心地はどう?」
雫は数歩歩いてこちらに戻って来て「うん。大丈夫」と笑顔だ。
さっきの不安そうなのはどこに行ったんだろってくらい生き生きして見える。
「これ、購入で。あと、ここで履いて行ってもいいですか?」
「大丈夫ですよ。では……」
会計を済ませ、元々雫が履いていたものは袋に入れてもらい俺が持っている。
そして隣には赤いヒールを履いて嬉しそうにしている可愛い雫がいる。
履き慣れていない時々フラつくらしく、俺の腕にしがみつきながら歩いてるから、すごく可愛い。
「ありがとうっ」
「いえいえ。喜んでくれたならよかったよ」
この日以来雫は自信を持ってヒールの靴を履くようになった。
体が男ということは雫にとって悩みの種だから、こういう風にそれを解決できたらいいと思う。
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