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第2話

 どうせ捨てるなら、と、トウヤの衣類は散々に汚してから捨てる事にした。  中には思い入れのある服もあったようだが、そういうものはより徹底して汚した。これはキオから貰ったやつだから、と涙目になっても、容赦なく。  まあ、具体的には、衣類の山の上に、排泄させたわけだ。  さっき俺が洗ったばかりのシャツも、旅行の時に着ていたコートも、誕生日にあげたジャケットも、山積みにして、その上に、トウヤを座らせた。腹が膨れるほど、尻から水を入れた状態で。  それなりに長い付き合いで、セックスの為の洗浄も最早習慣の一部とあれば、浣腸による排泄にも慣れたものだ。慣れた事で近頃は羞恥心の欠如が見られつつあったものの、今回は相当に恥ずかしかったようだ。それとも、やはり少しくらいは未練もあったのだろうか。  俺の服だけが干された浴室で、終始、啜り泣くような声が響いていた。  臭い移りとか、大丈夫かな。まあ、汚れたわけじゃないし、なんなら洗い直せばいいか。洗濯物も、半分に減った事だし。  洗浄を兼ねた排泄を数回行い、彼の衣服は見るも無残な姿になり、満足感を覚える。  水気の多いものをそのまま捨てるのは少々申し訳なく思ったが、排泄物に塗れた布切れを絞る気にもなれず、古新聞で厳重に包んでから袋詰めし、マンションの各階に備え付けられたダストシュートに投げ込んだ。  ゴミになった衣類を処分して浴室に戻ると、トウヤはぐったりと壁に凭れていた。  単純に、度重なる強制排泄の疲労か、それとも少しは、後悔でもしているんだろうか。  でももう、引き返せない。  それにしても…… 「お前なあ……それ、もうちょっとどうにかならなかったのか?」  自力で書いたと思しき「犬」の文字。  酷く歪んでいる。子供の落書きみたいだ。  そもそも、大きく「犬」って。  センスがないにもほどがある。 「え、えへへ……やっぱ気に入らなかった? でもこれ油性で、いだっ、いだだ、キオ、それ、痛いっ」 「落ちねえか……仕方ない、これは当分諦めよう」  力任せにタオルで擦ってみたが、皮膚が赤くなるだけで落ちる気配がない。  それでも精々数日の辛抱だろうから、自然に落ちるのを待とう。 「その腹見ると萎えるからな。俯せになってケツ上げろ」 「こ……ここですんの?」  問いかけながらも、トウヤは従う。  すっかり流したとはいえ、さっき自分が、散々漏らした風呂場の床に、顔をつけて。短時間で酷使されて、ぷくりと腫れぼったいアナルを、惜しげもなく晒す。 「ん? 俺は突っ込まねえよ?」 「じゃあ、何を……」 「今まで遠慮して使ってなかったものをな」  ゴミ捨てから戻る時に、部屋から持ってきたものを取り出す。  いつか使おうと、密かに購入したものだ。 「な……に、それ」 「ディルドだけど?」 「いや、サイズの話っ」 「ああ。太さは大した事ないだろ? 長さは1メートルだったかな」 「いち、……どこに隠し持ってたんだよ…………それ、入れんの?」 「入れるが? まあ安心しろ、全部入れようなんざ考えちゃいねえよ」 「……どこまで」 「さぁて、どこまで入るかな」 「っ……」  スプラッターは好みじゃないので、しっかりローションを纏わせてから、先端をひくつくアナルに宛がう。  真っ黒でてらてらと光る卑猥な玩具は、さし梃子摺りもせず、体内に沈んでいく。  実際、太さは俺のものと大差ない筈だ。これだけ解したあとなら、トウヤはあっさりと受け入れる。 「ぅ、あっ……」  漏れた声に苦痛は窺えず、うっとりとして響く。  いいところに当たるのか、早くもペニスが反応を示し始めていた。  だが、喘ぎ声はすぐにくぐもる。 「キオ、もっ……奥、当たって……」  存分に不安を含んで、トウヤが振り返る。 「そのうちフィストも出来るようにしような」 「なっ……、ッあ、奥、ぅ……ッ」  手に伝わった抵抗を無視し、更に奥へ。じっくりと、捻じ込んでいく。 「あっ、あぁっ……そんな、とこ、ダメぇ……っ」 「何がダメ?」 「ダメなとこ、入ってる……」 「それを言ったらケツなんて、そもそも何か入れるところじゃねえし。気にすんなよ」 「うぅっ……こわ、ぃ……」  割とセックスに積極的なトウヤでも、こんなに深く異物を入れられるのは恐怖なんだろうか。  まあ、何事も「初めて」というのは不安はつきものだ。  そのうち慣れるだろうと、軽く考えた。  俺だって、こいつの本性を、分かっていないわけじゃない。 「ねぇ、まだ……入れるの……?」 「んー……このくらいでいいかな。ほら起きろ」  ややして、トウヤを起こす。  膝立ちになると、なんだかんだ言いつつ、しっかり勃起したペニスが露になった。  ほらな?  こいつだって、満更じゃない。 「お腹、ヘン……」 「痛いわけじゃねえだろ?」 「まあ……」  トウヤの尻からは、黒々とした尻尾が生えている。  全長の半分ほどが露出したままで、膝より少し長いそれは、先端が床に接していた。  双頭のディルドは反対側もペニスを模しており、長い尻尾状態のそれは、同時に長いペニスでもあり、非常に淫猥だ。  弾力性のある黒いそれを、軽く揺らす。 「んぁっ……」  途端に、トウヤが喘いだ。  はあはあと息を荒らげて、前屈みになる。  腹の奥まで、振動が伝わっているらしい。  でも俺が確認したかったのは、感度ではない。 「よし、これならすぐには抜けなさそうだな」 「ぁ……あ……」  そしてすぐに、手を離す。トウヤは、物欲しげな顔で俺を見ていた。 「抜くなよ、それ」 「いつまで……」 「腹のそのしょーもねえ落書きが消えるまでだよ」 「ぅげ……トイレは……?」 「我慢」 「えぇぇ……」  トウヤの眉が、情けなく下がる。  しつこいほど腹の中は洗ってやったし、2、3日くらい出さなくても健康には問題ないだろう。多分。  数日はこのまま、卑猥な尻尾を生やしたまま生活をして貰おう。 「ち、ちなみに小便は……」 「それはこれから教えてやる」  僅かに引き攣った彼の口元に気分を良くしながら、脱衣場に置いてきた別の道具を取る。  なんて事はない。導尿用のカテーテルだ。  これは初めての経験でもないせいか、そこまで怯えた様子はなかった。  むしろ、ほっとしたような顔をした。  そうだな、好きだもんな、ここ。擦られるの。 「入れるぞ」 「ぅ、ん」  勃起して狭まった穴を、抉じ開けていく。 「ぁあ……ふ、ぁ……」  そうするとすぐに、彼は甘ったるい声を響かせた。  でもこっちもやはり、快感を与える事が目的ではないので、焦らさずに手早く、膀胱まで差し込んだ。  完全に管が通ると、しょろ……と小便が漏れる。本人の意思とは、無関係に。  多くはない尿がやがて出切ると、勝手に漏らさぬよう、余った先端をクリップで留めた。 「勝手に外すなよ。出したきゃ都度、俺に強請れ」 「分かった……けど」 「けど?」 「射精は?」 「ナシに決まってんだろ」 「そんなぁ」  カテーテルを通されて一層硬く反り返るペニスを晒し、トウヤは不満を訴える。  ダメなものはダメ。 「勿論オナニーもダメ」 「ヒドイ……」 「なんとでも言え。ほら、口開けろ」 「口にもなんか取り付けんの?」  そして文句を垂れながらも、トウヤは素直に口を開いた。 「違う。俺がお前の分まで、射精してやるって言ってんだよ」  その口に、さっきから勃ったままだったペニスを、突き入れた。
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