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第5話

 トウヤの尻に入れるものは、その時によってまちまちだ。  俺のお気に入りは最初に使ったような長過ぎるものを、敢えて外に露出したまま挿入させるものだ。見るからに卑猥なものを咥え込んでいます、といった雰囲気で、とても良い。  しかし他の玩具も嫌いではなく、電池で動くものや中で膨らむもの、下着と一体化したようなものなど、色々と試している。  お陰で尻の穴も、随分と拡がったのではないだろうか。  実を言うと、俺はそこにペニスを入れる事に、さほど拘りはない。  別に緩くなってきたから勝手が悪いわけではなくて。  ペニスだろうと指だろうと玩具だろうと、人の腹に何かを詰め込んで善がらせる、という行為そのものが楽しい。  その一方で、トウヤはフェラも上手いし、射精するだけなら尻に挿入せずとも済む、という面もある。  だからもし、本当に俺を締めつける事も出来ないほどがばがばになっても、それはそれでいいかなあ、なんて最近は思っている。  俺が思っているだけでトウヤは分からないけど、まあ、本気で嫌がられはしない気がしている。  ただやはり、痛みや出血を伴うようなプレイは好みではないので、じっくりと時間をかけて、壊していくつもりだ。  今日も、昨日に比べたらかなり細いと言って差し支えない玩具で塞いでおいた。  太さも長さも一般的なサイズだが、いくつか括れがあり抜け落ちにくくなっている。  今日も今日とて、エレベーターの前でメッセージを送る。  だが玄関に、トウヤの姿はなかった。 「あれ……」  その事に、少々驚く。  けれど逃げ出したわけではないようだ、リビングから、何やら物音が聞こえる。  思ったままの感想を述べるならば、そう、さめざめと泣くような声が。 「……トウヤ?」  恐々と、扉を開けた。  部屋の真ん中で、案の定泣いているトウヤの姿があった。  ぺたんと力なく座り込んで、ぼろぼろと泣いている。 「うっ……キオぉ……」  トウヤは泣き腫らした目でこちらを見た。  何事かと近付いて、途中で気付いた。 「……漏らしたの?」 「…………」  こくんと、声もなく頷く。  辺りには、特有の悪臭が漂い、トウヤの尻の下には、緩い汚物が広がっていた。すぐ傍に、諸共に排出されてしまった玩具も転がっている。 「ご、ごめ……っ、おなか、痛くて……がまん、しようとしたんだけど、出ちゃって……それで、どうしたらいいか、わかんなくなっちゃって……」  トウヤは嗚咽しながら、事の顛末を語る。  昨日排便させたばかりだから大丈夫かと思っていたけれど、そういえば今朝は随分と寒かった。冷えてしまったのかもしれない。  まあ、こういう事もあるだろう。 「あーほら泣くな泣くな。他はどこか具合悪くねえか? いつだ? さっき?」 「他は、へーき……さっき……30分まえ、くらい……」  まずは頭を撫でて、宥めてやる。  30分もこの状態じゃ、濡れて余計に冷えるだろうに。  その間トウヤは、ずっとこうして泣いていたのか。  漏らして、パニックで、片付ける事も出来ずに。 「下ってたなら、仕方ないから。ほら、この際だから、まだ出るなら出せ」  頭を抱いて撫でながら、促す。 「で、でも、床汚れちゃうし、それに俺、勝手に」 「仕方ないって言ったよ? 俺」 「でも……」 「じゃあ、あとでちゃんとお仕置きしてやるから、ここで残りも出せ」 「っ分かった……」  彼が求めているであろう言葉を付け足すと、あっさりと頷いた。  以前、仕事を勝手に辞めた罰だと、1ヶ月ほど性行為をお預けした時とは、雲泥の差だ。  心境の変化というわけではないのだろう。本質的に、トウヤはこういうものだったのだ。  そうだな、やっぱお前には、労働より向いてるものがあったなあ。 「ご、ごめんね、リビングで、うんちおもらしして、ごめんねっ……ごめん、ぅ、あ、あっ……また……っ」  トウヤは俺に縋りつきながら、やはりまだ出し切っていなかったようで、殆ど水と変わらないような便をびちゃびちゃと排泄した。  こういうのを、倒錯と言うのだろうか。  食事をしたり寛いだりするリビングで、謝りながら成人男性に漏らさせている。  それに、堪らない興奮と満足感を覚える。  可愛い。  可愛い。  粗相の始末なんて、なんて事はない。 「っ……全部、出たぁ……」  こんな事に欲情する俺も大概だけれど、そう報告してペニスを勃起させているトウヤも、いい勝負だと思う。

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