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 『-holic ―恋人がサプリ―』(3)

 だってさー、透さんの声って、なんか甘くて色っぽいんだよ。  あの声が直接耳に入ってくるんだよ? もうね、耳から犯されてる感じ? ってか、俺って変態かなぁー。  でも正直、時々心配になるんだ。  あんなに色っぽくて、そんでカッコいい大人の男を、他の奴らがほっとかないんじゃないかって。  女の子にも勿論モテるだろうけど、そういうのはきっと透さんはキッパリ断るだろうから(なんたって俺がいるしね?)、心配じゃないんだけど。  女の子じゃなくて、男に力任せに迫られたら……って思うとさ。  例えば……あの、神谷社長とか……。  出張先で仕事の後とかに呑みにとか行くだろ? そんでなんか薬とか盛られちゃったりとかしてさ。  気が付いたらホテルのベッドの上だったとかさ。 『……しゃ、社長、駄目です。俺には、直くんが……』 『直くん? ああ、あの子。あんな子供よりも俺のような大人の男もたまには良いだろ? ほら……』  神谷社長は百戦錬磨のテクニックで、透さんにあんな事とか、こんな事を……。  ――ああああっ!ちがうっ、そんな事には絶対ならないってば!  俺は、慌てて上半身を跳ねるように起き上がらせて、かぶりを振る。  だけど、だけど……なんでこうなんの、自分で情けない。  俺は思わず大きな溜息を吐いた。 「……何、勃ってんだよ、俺」  変な事を妄想しただけで、俺の息子ちんは硬くなってきてる。  しかも妄想の中の透さんは、神谷社長にあんな事とかこんな事されてんのに!  どうすんのこれ……。  でも頭ん中には、もう透さんの色っぽい声やら、顔やら、しなやかな身体やらが、再生されてしまってて。  と、止まらない……!  俺は、金属音を立てながら、自分のベルトを外してジーンズをずらす。  下着の布を持ち上げて、外に出たがってる息子ちん。 (――ちょ、ちょっとだけなら……?)  そうだ、透さんが帰って来る前に、ちょっと先に出しておいた方がいいかもしれない。  とか、いい加減な考えも頭を過って、俺はそっと自分の下着の中へ手を入れようとした……その時、玄関で鍵を開ける音がして、それに続いてドアが開いて閉まる音がする。 (――っ、帰ってきた?!) 「ただいま。直くん、きてるの?」  玄関から聞こえてくる透さんの声に、下着の中で猛ってる息子ちんを宥めるように押さえて、ジーンズのファスナーを慌てて上げた。 「ーーっぅッ」  な、んか、ちょっとひっかかった! けど、平静を装って変な歩き方してる自覚はあるけど、透さんを迎えに寝室から出て行った。

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