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 『-holic ―恋人がサプリ―』(6)

 もう早く挿れて欲しいなんて、言ったら笑われそうだけど、一人でやってる時も後ろをちょっと弄ってみたりもするんだけど、肝心のあの場所には、なんだか上手く触れなくて。  やっぱり自分でやるより、やって貰う方が断然気持ちいいし。  それに久しぶりだから、一回目は透さんのを中で感じながらイきたいじゃん。  だから、透さんのベルトに手を掛けて、焦りながら外していくと、透さんの笑い声がクスクスと聞こえてきた。 「直くん、何焦ってるの?」 「あ、焦ってなんか……」  今日の俺、なんだかさっきから言い訳ばかりで、テンパってるし。  だけど透さんは、なんだかもう全部お見通しな眼差しで俺を見つめている。 「あ、あの、俺……」 「ん?」  ――ああ、その首を傾げて、にっこり微笑むの、本当、俺の前だけにして欲しい。心配で堪らないよ。 「俺、透さんのでイきたいから、早く挿れて欲しいな……」  って、うわーっ、言ってしまった! 透さん呆れたかな。とか思って見上げた途端、唇を塞がれてキス。  ギューっと抱きしめられて、唇をちょっとだけ離して、俺を見詰めてくる眼差しがものすごく色っぽい。 「ホント直くんて……」  そう呟きながら、透さんは着ている服を全部脱ぎ捨てて、俺のシャツも剥ぎ取って、床へ投げ捨てた。  その脱ぎっぷりが、またカッコいい。  透さんは、俺の身体をそっと押し倒して、首筋、胸、腹と舌を這わせながら、俺の身体を下っていく。  もう身体中が敏感になっていて、そうされるだけで、俺の元気な息子ちんの先端から、先走りがとめどなく溢れ出していた。  気持ちよくて目を閉じてると、透さんの動きが急に止まって、身体が離れていく。  どうしたのかなって、薄く目を開けると、ベッドサイドチェストに手を伸ばして、ローションとゴムを取り出している。  ゴム、要らないよと言いたくて視線を送れば、「ちょっと待ってね」って、また首を傾げて微笑んだ。  ――あー、やばいやばい、その表情でその仕草。俺、今それだけでイってしまいそうになったから!  透さんは俺の足の間に割入ってきて、パッケージからゴムを取り出して唇に挟み、ローションを纏わせた指を、俺の後孔の入り口へ滑らせた。 「あぁ……っ」  そこをなぞられただけで、全身が期待に震えてしまう。  つぶりと挿ってきた指は、すぐに俺の感じる場所を刺激してきた。 「……ん、ぁあ、とお、るさん……」  指の腹で何度もそこを擦りつけてきて、もう前の方も吐精感が込み上げてくる。  もうイきたくてしょうがなくて、思わず自分で手を伸ばそうとすると、透さんの手に拒まれて止められてしまう。 「とおる、さん、俺もうイきそ……」 「うん、分かってる。でも直くん、俺のでイきたいって、言ったよね?」  え? それは、言った……言ったのは確かに言ったけど……。 「でも、もう、おれ……」 「うん、もうちょっとだけ待ってね」  そう言って、中の指を3本に増やして、中を広げるように動かしながら、もう片方の手でゴムを付けている。 「あ、ぁ…んっ、……っ」  もう、ダメって、言おうとしたその時、透さんの指が外に出ていった。  空っぽになった中が、寂しそうにヒクついている。 「透さん、はやく……んっ」  唇に一度キスを落としてから足を大きく開かされ、内股に何度も口付ける。  それから、上目遣いで俺を見て、「挿れるよ」とあの甘くて色っぽい声で囁いた。

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