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 『来年も再来年も、ずっと……』(11)

 綺麗な形をしたツヤツヤの苺は、ちょっと大きいサイズ。なのに、透さんは俺の口の中に苺をまるごと入れてしまった。 「美味しい?」  至近距離で小首を傾げて訊かれても……! 「ほひひぃ」  柔らかくて奥歯で噛んだら、ジュワッって果汁が口の中に溢れる。食べながら喋ったら目の前の透さんの顔に果汁を飛ばしてしまいそう。 「そう? 良かった。じゃ、今度はケーキね」  そう言って、ホールケーキをフォークで切って、それを俺の口元にまた運んでくるんだけど……それ、ちょっと大きくないか?!  スポンジの上に生クリームもどっさりのっかってるんだけど! 「はい、あーん」  俺は、まだ口の中に残ってる苺を慌てて飲み込んで、透さんに催促されるままにまた口を開けて……。  一口で食べれる大きさをはるかに超えた分量を、無理やり口の中へ押し込まれる。 「ぐふっ……」  必死で口を閉じたまま、思わず咳き込んでしまう。これって分かるかなぁ、鼻から生クリームが出そうな感じ?  当然、唇や顎や鼻の上にまで、生クリームがべっとりと付いてしまった。  たまらずに拭おうとした手を透さんに両手で掴まれる。 「――っ」  抗議しようにも、口の中が一杯で喋れないし!  ……と、思ってたら、透さんの顔が近づいてきた。  ――あ……。  これは、初めて出逢ったあの夜と同じだ。  生クリームがべっとりと付いた唇に、透さんは舌で触れてきて、ペロって舐め上げる。 「……っん」  ――思わず、変な声出ちゃった!  俺に視線を合わながら、顔に付いた生クリームを更に舐めとっていく透さんの目が、愉しそうに笑ってる。 「ごちそうさま」  最後に鼻の頭を舐めて、透さんはそう言って微笑んだ。 「――んーーっ」  なんだか、本当にあの夜と同じで、思い出したらドキドキしてくるけど、俺は口の中いっぱいに頬張ったままのケーキを飲み込むこともできないままだ。 「直くん、早く食べないと……まだこんなにいっぱいあるのに」  無理だよ! ホールケーキ7号サイズって言ったら、8人から10人くらいで食べるサイズでしょ? それを二人で全部は無理!無理! 「じゃあ、今度は苺ね」  って、俺が返事できないの分かってて、また苺をフォークに突き刺して……今度は自分の口の中に入れた。  ――なんだ。透さんが食べるのか……。  って、ホッとしてたら、後頭部を引き寄せられて、唇が重なった。 「ん、んっ」  唇を割って入ってくるのは、舌じゃなくて苺!  まだ口ん中にケーキが残ってるのに!  逃げようとしても、後頭部を固定されて動けなくて、透さんは舌を使って苺を押し込んできて、苺の果汁が俺の咥内で弾けた。 「ん、ん……」  んで、そのまま透さんの舌も侵入してきて……潰れた苺を半分くらい絡め取って出ていった。  そして、にこっと笑う。 「半分こだね」

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