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『来年も再来年も、ずっと……』(17)
広い部屋の中は、二人の荒い息遣いだけが聞こえてる。
身体を繋げて抱き合ったまま、俺は透さんの肩に鼻先を埋めた。
汗ばんだ肌をぴったりとくっつけて、体内に残る熱い余韻に浸る。とても暖かくて気持ちいい。
透さんが僅かに身じろいで、耳元にチュッとキスをして、身体を離そうとした。
「んーー、もう少しこのままがいい」
だって、気持ちいいし、すごく幸せなんだもん。
クスっと、小さく笑う声と共に、透さんの呼気が耳にかかる。
「……いいよ」
透さんの腕に身を委ねながら、ふと、窓を見ると、カーテンの隙間からチラチラと白いものが舞っているのが見えた。
「あ、雪が降ってる」
俺がそう言うと、透さんも窓の方へ視線を巡らせた。
「ホントだ、二年前と同じだね……」
「え? そうだっけ?」
――そうだよ。と、笑いを含んだ声が返ってきた。
「あの時、直くんは、ウトウトしてたから憶えてないかな」
「……あぁ、そうだったかも……」
なんとなくだけど憶えてる。あの時、意識が落ちる前に最後に見た記憶。あれは夢じゃなかったんだな。
「あの時も、直くんは、もう少しこのままでいてって、言ってたね」
「え? 俺、そんな事言った?」
驚いて、顔を上げると、透さんは頷きながら俺の髪をクシャクシャと撫でて、
「身体が冷える前に、シャワーしにいこうか」
と、優しく微笑んだ。
なんだか今夜は、このホテルの部屋に来てから、出逢ったあの夜の出来事を辿るように、同じようなことをしてる。
ケーキ食べて、エッチして、一緒にシャワーして。……って、俺はあの夜、シャワー浴びたことなんて、憶えてなかったっけ。
違うのは、ここが透さんの部屋じゃなくて、ホテルのスイートルームだってこと。
シャワーブースで、身体を洗いあって、どこの大富豪の風呂だよっ! ってくらいデカい浴槽に二人で浸かって。
風呂で盛り上がって、もう一回ヤッちゃったけど。
浴室から出た頃には、もう0時回ってた。
「メリークリスマス」
改めてシャンパンで、乾杯。
シャンパンクーラーに入ってたから、まだ冷たくて美味しい。
コクコク飲んでたら、
「直くんは、お酒弱いんだから、そんなにジュースみたいに飲んじゃダメ」
って、ちょっと注意される。
「だいじょーぶ。俺、透さんと一緒の時は安心して飲むけど、外ではそんなに飲んでないもん」
「ホントかな」
って、透さんは、そう言って笑いながら、カバンの中からプレゼントの包みを出してきた。
「あっ、俺も持ってきてるよ」
ソファーに置きっぱなしだったカバンから、俺も透さんへのクリスマスプレゼントを出して、透さんに渡そうとして気が付いた。
「あれ……もしかして……」
透さんのプレゼントの包みも、俺のも、どちらも長方形で。しかも同じ包装紙。
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