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『Feliz año nuevo!』(4)
「――う、酒くさい……」
「あはは、だってお酒だもん」
いや、そうじゃなくて、なんでローション使うんだよ!
「じゃあ、服、脱いだ方がいいよね」
透さん、何言ってんのっ!?
透さんの長くて綺麗な指が、俺のシャツのボタンを外していく。
「ちょ、透さん、なんで?」
なんで、透さんが皆の前で、俺の服を脱がせるんだよ?
「ん? なんでって、何が?」
そう言いながら、チュッと音を立てて俺の唇を啄ばむ透さん。
「あ、いいなー、俺にもやらせて、ちゅって」
「な、何言ってんだよ、啓太! おまえには、ゆり先輩がいるだろう?」
カウンターの椅子に座った透さんに後ろから抱きしめられて動けない俺は、必死に足をばたつかせて、啓太が近付いてくるのを阻止しようとした。
「ごめんね啓太くん、キスは駄目だよ。唇は恋人だけのものだから」
そう言って、透さんは俺の顎に手を添えて、後ろを振り向かせると唇を合わせる。
「……ッ、ん、」
咥内に挿ってきた透さんの舌に上顎を撫でられただけで、俺のイケナイ身体はぶるっと震えちゃう。
「ちぇー、つまんないな。あ、じゃあ俺、それ塗ってみたい」
啓太は、キスを諦めたのか、みっきーの手からローションのボトルを取り上げた。
「……ちょ、啓太、ふざけんな……」
「直、罰ゲームなんだから、観念しな。透さん、しっかり捕まえててくださいね、直が動かないように」
「分かってるよ」
カウンターの椅子に座った透さんの足の間に身体を挟まれて、上半身の着ているものを全て剥ぎ取られて、後ろから抱え込まれる。
「……透さん……」
肩越しに振り返って、透さんに助けを求めても、透さんはにっこり微笑んで「大丈夫だよ」って言うだけで……。
「――わっ! 冷たっ!」
いきなり啓太が、俺の首筋辺りからローションを垂らして、胸元へと流れていく冷たい液体に身体が跳ねた。
「じっとして」
だけど跳ねる身体は、透さんにしっかりと後ろから羽交い絞めのようにされて、身動きが出来なくなった。
「なーお、大丈夫だよ、直ぐに熱くなってくるから」
みっきーが、なんたってブランデーだからねー、とか言ってるのが聞こえる。
なんだか本当に身体が火照ってきて……。
肌から立ち上る酒の匂いに酔ってしまったのか。
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