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16 幸せになるまであと258日。
『ん…?』
目を覚ますとベッドに突っ伏しながら眠る西野さん。
ほんとにずっと傍にいてくれたんだ…。
なんだかすごく嬉しくなった。
『痛ッ…』
まだ少し頭は痛いが、体のダルさはマシだ。
眠る西野さんを起こさないようにそっと起き上がりベッドを抜け出す。
そして西野さんの背中に布団をかけた。
キッチンに行くとガスコンロにはお粥。
あの人料理もできるのか…
恋愛下手どころかなんでも完璧な西野さんに少し驚く。
『はよ。』
『あっ…おはようございます。』
『大丈夫か?』
『はい。だいぶマシです。ありがとうございました。』
『よかった。そうだ、お粥食べるか?』
『はい。いただきます。』
お粥を温めながらなんだか嬉しそうな西野さんが気になった。
『なんかいいことありました?』
『ん?いや、なんか恋人っぽいなって…』
嬉しそうに笑いながら言う西野さんに胸がキュンとなる。
か、可愛い…
もうダメだ…
完全に持って行かれてる…
疑似恋愛ごっこの残りが半年以上あるというのにこの有様…
恋愛マスターめ。どこが恋愛下手だ。
頭の中で色々な女を想像して、道を踏み外さないように踏ん張る。
俺はノーマル、俺はノーマル。
また何度も自分に言い聞かせたのだった。
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