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22 幸せになるまであと237日-6。
『このケーキも美味いっすね。』
『お前甘い物平気なの?』
『そうですね…どちらかというと好きかも…意外って言われるんですけどね。』
『確かに意外かも…』
『西野さんは?』
『俺もどっちかって言うと好きかなー?』
『西野さんの方が意外ですよ。』
なんて言いながら笑って。
かなり嬉しくて楽しくて…
俺ほんとマズイ。
心をどんどん持って行かれているのがわかる。
どこかでストップをかけないと…そう思うのに…
『天野、こんなとこにクリームついてる。』
なんて言いながら俺の口の端についたクリームを指で拭うとそれをペロッと舐める西野さんを見てキューンとしたり…
キューンってなんだよ。
ダメだ。
もう雰囲気がダメ。
酔いに酔ってどんちゃん騒ぎに持って行くしかないな。
って、思いながら飲むのになぜか全然酔えなくて…
逆に頭がボーッとするぐらいに心地良く酔ってしまい、気持ちが変な方向へと行く。
キス…したいかも…
なんて考えたり。
西野さんのシャンパンを煽る口元を見てはドキドキしている。
俺がここで「好きです」って言ってしまったらどうなるんだろ?
即さよならかな…?
ただの疑似恋愛ごっこを本気にするな。とか言われたり?
頭の中でそんなことばかりが回る。
『天野?大丈夫か?』
『えっ?』
『顔赤いけど。』
『大丈夫ですよ。もっと酒頼みますか?』
『いや、もうこれでやめておこう。お前やっぱ顔赤いって。』
『本当大丈夫ですって。』
そう言いながら残っているシャンパンをグイッと飲み干し机に突っ伏した。
なんか悲しくなってきたかも…
俺、泣き上戸かな…
『寝るならベッドで寝ろよ?』
『はーい。』
そう返事しながらも今のこんな気持ちで一緒のベッドになんて行けない。と思いながらそこから動かないでいた。
『天野!!』
『…』
座っている俺の隣に来た西野さんがグイッと俺の頭を持ち上げながら言う。
『おい天…泣いてる?』
『泣いてません…』
そう言う俺は目から涙をダラダラと流していた。
何がってわけじゃないけど、自分の西野さんに対する気持ちに動揺しているのと、もし気持ちを伝えるとフラレるんだろうな…とか、俺はどうしたいんだよ!!とか、色々な気持ちが入り混じりいつの間にか泣いていた。
『目から何か出てるけど。』
『汗です。』
『お前珍しいところから汗出るんだな。で、どうした?』
『どうもしません。』
『天野…』
溜息をつきながら西野さんが座っている俺を後ろから覆い被さる形で抱きしめた。
『西野さん!?』
『俺に言えないこと?恋人同士だろう?』
『ぎ…疑似ですから…』
そう言いながらももう少しこのままでいてほしくて、俺は動かないでいた。
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