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32 幸せになるまであと132日-1。
あのキス事件以来、気まずくなるかと思われた関係も毎日のメールと電話で修復され、以前のように自然に話もできるようになった。
そして…夏。
俺たちは海にいます。
男二人で海って…
盆休み、二人でどこかに行こうということになり、どこに行くか話し合った結果、海ということになった。
いや、海はいいんだけどさ…
眩しい太陽にキラキラした海。
そしてキャーキャーはしゃぐ水着ギャル。
って…
なんで興奮しないんだよ…
自分の精神に「問題アリ」と勝手に判断して病む。
ほんとマズイぞコレ…
女見て興奮しないなんて重症どころの騒ぎじゃねぇ。
もう死んでる…
前までの俺なら友達同士で海なんて来たら片っ端から声かけてよくナンパしたのになぁ…
隣の西野さんは缶ビール片手に女の子を品定めしている。
ただのエロ親父じゃねぇか。
はぁ…帰りたい…
『お兄さん達!!二人ですか?』
ボーッとしていると、女の子2人組が声をかけてきた。
『二人だけど。』
俺がそう答えると女の子達は言葉を続ける。
『お二人ともかっこいいですよね!!一緒に遊びません!?』
逆ナンか…
まぁ可愛い子達だしいいんじゃない?…なんて思いながら西野さんを見た。
『ごめん。俺たち二人でデート中だから。』
『ブフォー!!!ゴホッゴホ!!』
俺は飲んでいたビールを吹き出した。
『デート?』
女の子達が不思議そうに聞く。
『そう。だから邪魔しないでね。』
そう言うと、西野さんが俺の肩を抱きながら女の子達にウインクをする。
『な!!何言ってんですか!!これは冗だ…』
そう言いかけて女の子達の顔を見て驚いた。
真っ赤な顔をして、どこか嬉しそうで…
『キャー!!リアルゲイ見ちゃったー!!!ラッキー!!!』
ラ…ラッキー?
はしゃぎながら走り去って行く女の子達が振り返りながら何度もコチラを見る。
『ちょっと西野さん!!あれはダメでしょ?』
『えっ?なんで?事実じゃん。』
サラリと言いながらビールを飲み干す西野さんに溜息をつきながらも、まぁいいか…なんて思い俺もビールを飲み干した。
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