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35 幸せになるまであと115日-2。
《あの…小宮さんに聞いたんですが、クマのキーホルダーをみんなに見せてるって本当ですか?》
《本当だけど?》
《やめてくださいよ…》
《なんで?》
《なんでって…恥ずかしいんで…》
《なんで天野が恥ずかしいんだよ?ってかさ、このクマ、ブサ可愛なんだよ〜。名前付けた。》
《名前?》
《うん。俊。》
《それ、俺の名前じゃないですか…》
《あれ?そうだっけ?じゃぁ会議行ってくる!!午後からも仕事頑張って!!》
って…
何ちょっと喜んでんだよ、俺。
みんなに見せるのをやめろと言いたかっただけなのに、こんな気持ちになってしまった…
嬉しい…
この恋愛マスターめ。
本気で俺の気持ちを弄ぶのはやめてほしい。
そしてメールの切り方も自然…
もういいじゃん。
十分恋愛上手いですって。
だけどやめようと言えないのは、まだ一緒にいたいと思うからなんだよなぁ…
重症。
午後一のアポも終わり、一旦事務所に戻ってきた。
次のアポまで30分か…
ちょっと休憩〜なんて思いながら休憩所に来たら山崎がコーヒーを飲んでいた。
やべっ…
気付かれないようにそぉっと休憩所を出て行こうとしたところで山崎に声をかけられた。
『天野さん、ちょっと。』
『な、なんだよ。』
『俺に言ってないことないですか?』
『何が?ってか、なんでお前に言わなきゃなんねぇんだよ。』
『俺の時、根掘り葉掘り聞いたじゃないですか!!天野さんには話す義務がありますよ!!』
『はぁ?嫌だよ。なんで言わなきゃなんねぇんだよ。』
『西野さんとやっぱり何かあるんですね。』
『ねぇよ。』
『じゃぁなんでそんなに焦ってるんですか!!』
『焦ってねぇし。』
『天野さんもまさかコッチだったとは…』
『ソッチじゃねぇし。』
『いいですよ。今度西野さんに聞きますから。』
『ちょっ…!!おい!!』
それだけ言うと山崎は休憩所を出て行ってしまった。
最近ナマイキになったなぁ〜。
って言ってもすげぇ可愛いんだけど…
可愛い?
西野さんが俺に言った可愛いも、俺が山崎に思っている可愛いと同じ「後輩として可愛い」ってことなのかな…
そうだとしたら…なんだか寂しい。
いや、その前に。
山崎が西野さんに聞くって言ってたけど、あの人ならサラリと本当のこと言いそうだぞ…
マズイな…。
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